『あなたはまるで、チェスの駒、"ビショップ"のような存在ですねぇ』


そう告げられた時、それも悪くないと思ったのだ


『……ゼムナス?』
「ん……?」
『ああ…、びっくりした……電気ぐらいつけてくださいよ。ただでさえ見えにくいんですから。貴方が私の部屋に来るなんて珍しいですね』
「そうか?」
『何か御用?』


ナマエはそのままキッチンへと向かった。


「…少し用があってな」
『何?あ、珈琲しかない…珈琲でいいかな…珈琲でいいですかー?』


こつ、とブーツが鈍い音を立てて地を踏みしめる
キッチンから湯を沸かしながらカチャカチャと食器のぶつかる音が耳につく


「…お前が入れるなら何でも構わん。」
『うわっ!背後に立たないでくださいよっ!本日二度目のびっくりですよ、消滅させる気ですか』


シンク台に両手をつき、ナマエが逃げられぬ様にゼムナスは自らの体とシンク台の間にナマエを挟んだ。


『えと…何ですか?動きにくいんですが』
「…サイクスはお前をどう抱くんだ?」
『なっ!!』


顔が見る見るうちに真っ赤になるナマエ。同時に持っていたカップが派手な音を鳴らして散る。


『セクハラですよそれ!』
「………」
『もう、退いてくださいって…、ば……』


冷めた瞳がナマエを見下す。
何かを悟ったのか、ナマエは真っ赤な顔から真っ青な顔へと変色した


『ちょ…何……』
「鳴いてみろ」
『や……!』


がちゃん、と割れたカップがあちこちに散らばる。
ナマエの体を破片だらけのシンクに押しつける


『ちょ、巫山戯るのはやめてください!あぶっ…危ないし!』


抗議の声をあげたと同時にナマエの目の前に鋭く尖った包丁が突き刺さる


『ひっ………!?』
「ああ、すまない。手が滑ってしまった」
『……っ!』


ゆるゆると足の付け根を撫でられ片方の手はコートのファスナーを下げる。


『やめ…っ、ゼムナス!』
「サイクスはどうやって抱く?あいつは優しくするのか?」
『ゼムナスッ!』


背後から首筋に埋められた顔は見なくても牙をむいてるのがひしひしと伝わる。


『や、ぁ…っ!痛っ…!』


ちくりと走る痛みにナマエは顔を歪めた。
痛みはすぐに快楽へと変わる。


『やめ…ゼムナス…っ』
「もっとその声で鳴け。その顔で私を煽れ」


ゼムナスはナマエの首、肩、耳と歯を立てながらそう呟いた。
半脱ぎになったナマエの肌は艶めかしい程色よい体をしていた


『離し…て…!』
「フン…私はサイクスの様に、優しくしてやらん」
『え…、待って…嘘っ……やだぁっ!』
「あいつばかりじゃ、つまらないだろう?」
『お願…っ、ゼムナス!』
「他の男に抱かれてみるのもいいと思わないか?」
『いや…、やだ、やめて…いやぁあッ!』


がたん、とシンク台の上にあった食器や器具が音を立てる。
ゼムナスの腕に爪を立てながらナマエはきつく歯を食い縛った。


「…力を抜け。狭すぎて動けん」
『ふ……っ、ぅ』


ゼムナスは溜息を吐き、シンク台に突き刺した包丁を引き抜いた。


「………」


その手に取った包丁をナマエの首元に当てる。


「抵抗するなら今消してやってもいいが?」
『ア……う…っ』


こくこくと首を立てに振るナマエに満足したのか、ゼムナスは腰を押しつけた。


『あっ、あぁ!や…っ』
「その色よい声で、私の名前を呼べ」
『ぃ…っ!あ、ふっぅ…!』



ナマエの半脱ぎのままのコートを邪魔に思いながらも、ゼムナスはそのまま背中に印を残す


『ヒっ……やぁ……ッ!』
「ナマエよ…。お前は私に"ビショップ"の様だと前に言ったな」
『んっ……!?やっ、そこ…触、んないで……!』


意地悪く攻めながらもゼムナスは話を続ける。


「私はこの機関を纏める者だ。」
『はっ……ぁ……?』
「だからお前達の状況は全て把握している」
『ッあ!んんっ…』
「お前とサイクスの情交も、全て筒抜けだ」
『!?』


驚きの隠せないナマエの表情を背後から見、低い声で笑う。


「ま、さかサイクスがお前に興味を…持つとはな」
『あぁっ…ん、待っ……』
「指導者である私に隠れて、色恋沙汰など…そういうつまらない事で、任務を疎かにしてしまったサイクスには、罰として」
『ひぁッ!!』
「…お前が他の男に抱かれて、喘いでいるこの状況を見せている」
『…なっ……!』


ナマエの足を抱え、体を反転させて向かい合う。
ナマエは涙を流したまま、逃げようと必死に藻掻いた。


『何でっ……やめてくださ…っ!こんなの、サイクスにみられたくない…!』
「…お前は黙って喘いでいればいい」
『イヤ……ヤぁっ…ゼムナス!やめて!!』


ゼムナスの肉棒がナマエの中を深く抉り、掻き回す。
ナマエの両手を押さえながらシンク台にもたれ、律動を再開した


『やだ、やだぁ…っ!サイクス!助けて!』
「私の力で、サイクスのいる部屋に結界を張ってある。万が一、あの部屋から出ても、ここにも張ってあるから」
『…や…っぁ…ああ…!』
「お前が幾ら泣き叫ぼうと、助けには来れない、と言う訳だ」


鎖骨から首筋に沿って舌を這わせ耳元で低く囁く。
それさえも快楽に繋がるらしく、ナマエの体は震えた。


『あッ…あん、んっ…う、や……だぁ…』
「…ナマエ」
『んん……』


軽く口付けた唇は次第に深くなる
ナマエも無意識のうちに、ゼムナスの翻弄する舌に自らの舌を絡めた


「…は……」
『ゼムナス……ッ』
「達きたければ、達けばいい」
『ん……ッ、んむ…』
「…フ、その熱を持って潤んだ瞳が…私をおかしくする。」


ナマエの物欲しそうな顔にほくそ笑み、再び口付た。

『ん、んんっ…ァ、ふ…うぁ、あ…も……ら、めぇ…ッ!』
「ん……」


びくりと震えたナマエの肉壁が、鼓動を打つ。
その締め付けにより、ゼムナスも中へと欲を吐き出した。


「は……はっ…」
『…ん……ぅ…』


快楽の余韻に浸るナマエの腰を抱え直し、ゼムナスはそのまま腰を押しつける。


『えっ、ちょっ…ゼムナス…ッ』
「サイクスへの罰は済んだ。…しかし、まだお前への罰がまだだ」
『…や、……イヤぁ…ッ!』


泣き叫ぶナマエを荒々しく押さえ付けて何度も何度もナマエを凌辱する



私を"ビショップ"の様だと言ったのはお前だ


"…私達が消えない様に、いつも見張っててくださいね、カントク!"


そう言ったのは、お前だ。

(The bishop wants her)


END

サイクスはきっとモニタで見せられる状況に狂いがちになってればいいさ!←酷。

06.11.26


イトハン