気になるのは仕方がない。だってあんな色なんだから。
それに彼の"色"を、私はもっと知りたい


それはみんなで夕食を取っていた時だった。


『ねぇ…聞きたい事あるんだけどいいかな』
「ん?」
「なーにー?」


ナマエの目の前に座るアクセルとデミックスに声をかけると二人は口を動かしながらもこちらを向く。
ナマエの隣に座っていたレクセウスはただ黙々と食事を続けていた


『……あのさ…恥ずかしい事なんだけど、どうしても気になるの』
「だから何だよ?」
『あのさ…その、んと…みんなさ髪の色と眉の色、一緒じゃん』
「うんうん」
『……えーと…その、下の毛ってどーなってんの?』


その言葉に食べていたものを喉に詰まらせたらしいアクセルが低く呻く。
その隣に座るデミックスの口からブハ!と、パスタがアクセルに向かって飛び出た。
レクセウスに至ってはオムライスに刺したスプーンが曲がる程動揺している


「ゴホッ…!」
『汚いなぁ…』
「おまっ……お前がイキナリ変な事言うからだろ!つーかデミッ、汚い!」
「ごめ……突然の事、だっ…たから…!って言うか!レクセウスっスプーン変形してるっ」
「……」


涙目になっている二人は布で口を拭き、ナマエに視線を戻した


「で、何でそんな事気になってんだよ」
『だって毛って全部一緒じゃん。けど下は何色なのかなぁって思って』
「自分の見りゃいーじゃんか。何色なわけ?」
『セクハラ!』


アクセルの広い額にぴしりと豆が投げ掛けられた


「おい…」
『デミや私達は一般的な髪色してるけど、アクセル、君やサイクスさんやゼムナスさまとかさぁ変わった色してるからスッゴイ気になるの』
「俺も入ってんのかよ!」
『当たり前でしょ』


かちりとスプーンが歯に当たる


『オムライスおいしい』
「話飛びすぎ」
「なら今見たら?」
「おい、デミ消すぞ」
「じゃあ素直に言ってあげればいいじゃん」
『そーだよ〜!』


二人はにこにこと笑いアクセルをからかう。
反撃しようとしたアクセルがぴたりと動きを止め食事を持って立ち上がった


『アクセル?』
「どしたの」
「お、俺はごちそうさまだ!」
『あ、そう?でも残ってんじゃん。残したらサイクスさんに怒られるよ』
「わーってるよ!ほらデミ!行くぞ!」
「え、何で!?俺まだ食べて…」


言いかけている途中のデミックスを引きずりアクセルは回廊へと消えた


『変なの?』
「……」
『ダメじゃんレクセウスさん』
「何がだ」
『怒っちゃいやん。』


頬笑み、レクセウスを見つめると変形したスプーンを直すべくぐにぐにと曲げていた


「怒ってなど――」
『レクセウスさんがどんな反応するか見たかっただけなの』
「……」
『もっと色んなレクセウスさんを知りたいの。はい。』


そう言われて、スプーンに盛られて差し出されたオムライス。
レクセウスは怪奇そうに見つめるとナマエはあーん、と口をぱくぱくさせた


『私、もっと貴方に近付きたいの』
「…」


ナマエの手を掴み、スプーンを咥える。オムライスを口の中で砕いて飲み込む。同じ味のはずのオムライスは何故かナマエのものと言うだけで違った気がしていた


「…ならば近付けば、いい。」
『んじゃ明日辺り夜這いしに来てさっきの話の真相調べに来るね』
「……それは遠慮する」


くすくす笑うナマエに、レクセウスもつられて笑う。


「やはり、ナマエは笑った顔が一番、いい」
『…っ、アリガトゴザイマス…』


俯くナマエの頭に、レクセウスは手を乗せて柔らかい髪の毛をくしゃりと掻き乱した。


誰かの隣で笑う君もすき。)


END

前半無駄に長い!

08.11.14


イトハン