彼女があまりにも

"殺してくれ"

と叫ぶので
お望みのままに、と何度も思った
正直、二人もきっと驚いたと思います。
僕達が昔、愛した女性――――ナマエ。
僕達が肉体を失ってこの不完全な体になって何年もなる。
そりゃあ年も食うでしょう。
彼女が…ナマエがこんなにも大人になっているなんて

「ナマエ…ですか…?会いたかった…。」
『…誰?』
「…お忘れですか?」
『ええ。敵に知り合いはいない』


"敵"
その言葉に、つい鼻で笑ってしまう。
ああ、元には戻れないんだと。


「僕ですよ。」
『確かゼクシオン、と呼ばれてたわね』
「この名前はこの姿の時だけですよ」
『……?』


右目を覆う前髪を掻き上げる。


「覚えていませんか?」
『………何を』


ナマエに近づいて、その華奢な手を掴み上げる。


「"赤いドレス、今度は僕の前だけで"」
『……っ!?』
「思い出していただけました?」
『イ……エンツ、ォ……!?』


驚愕するナマエに笑い、両手を強く掴む。


『なぜ…っ』
「僕達は生まれ変わったんです。心無き者として」
『どういう…』
「貴方に復讐を与え、貴方の大切なものを奪う為にね」


偽りの笑顔でヴィクセンの研究部屋に引きずる。


『離せっ…!』
「危ないですよ?この城の中を一人で歩いていたら。」


部屋に入ったと同時に台座に押し倒し、逃げられないようにと固定する。


「この城には」
『イエンツォ…っ』
「敵だらけなんですから」

笑いながらヴィクセンの研究道具の一つを手に取り、ナマエに見せ付けるとナマエの目が見開く。


「もう二度と…僕達の、可愛い子猫が逃げないように、ね?」
『やっ…め…やめろ!』


嫌がるナマエに、針を突き刺した。
流れる液体に、思わず笑いがこぼれる。笑う真似事をして、歯を食い縛るナマエを見つめ続けた。


この瞳は、かわらない。


それから幾日もヴィクセンの研究部屋に閉じ込めた。
一度ヴィクセン、レクセウスに会わせたきり、この部屋には誰も入れていない。
もちろんこの部屋の持ち主さえ。


『お…ねが、い……』
「ああ、どうしましたナマエ?」
『こ…………して…』


擦れた声で吐き出された言葉に、溜息を吐く。


「それは聞けません。」
『も、う……嫌…だ……』
「困りましたね…聞き分けのない子には仕置きを与えなければ。ね?」
『い、やだ』
「貴方もしつこいですね」


困った様な表情で苦笑い、ナマエの頬に触れた。
今まで、手を触れなかった。壊してしまいそうで、触れられなかった。
けれどこう何度も繰り返されるとこっちが壊されそうだ。


『ひっ……や!』
「死ぬ気など失せるくらい…愛してあげますよ」
『やめ…やめ、ろ……っイエンツォ…!やめっ……ぁぐ…ッ!』


誰にも見せたくないし、触れられたくもない。
渡したくもないし、逃がしたくもない。


「だから、汚してあげますね。」
『んく…』
「ブライグと…寝たんですか?」
『う……っあ…』
「答えてください」
『黙……れ……ッ…退け!』


無理矢理挿入した結合部からは血が流れ落ちる。

「…僕が、初めてなんですね」
『ひぅ……っあ…』
「よかった。もし初めてじゃなかったら非道くしてたかもしれませんね」


十分、非道いと思うのに涙するナマエを前にすると壊したくなる。


『いっ…』
「力、抜いてください」
『巫山…戯るな…っ…私に…触るな!』


こうも強情だと落とし甲斐があるでしょう?


「元気ですね。じゃあその声で」
『んっ…く』
「思う存分鳴いてください」


痛みに苦しむ顔にゾクゾクする。


『ぅ、ふ……何…で……イ、エンツォ…』
「貴方に傷つけられた"ここ"が痛みます。」


指さす場には、命を繋ぎ止める心臓。


「優しかった手に何度も…何度も刺されて」
『は………っあ…んぅ…』
「愚かな欲によって貴方の手を汚してしまったことに」
『やっぁ……』
「無いはずの心が痛むんですよ」


嬌声をあげるナマエにキスを送り、がくがくと揺さ振る。


「だから、もう逃がしません。ここから一生出しませんから」
『イ――――っ…あぁッ!』
「く……」
『やめ、ろ……やめろ!』

ナマエの制止を聞かず、欲を中へと放つ。


『…ぅ……イ、エン……ツォ……憎、いのか…?私…が…』
「………ええ」
『じゃ…あ…殺してよ』
「…まだ言ってるんですか」
『殺し、て……殺して……。』
「その言葉、愛という言葉に変えられませんか」


きっと、あれから狂ってしまったんだろう
ナマエも、僕も、皆も。


『……こ…ろして…』


手を差し伸べても払う
救い様のない貴方が、そう望むなら


「…今、楽にしてさしあげますからね」


望むのならいくらでも、お望みのままにしてさしあげますよ)




END

とりあえずゼクとの再会書きたかった!オチなしで!


イトハン