今日という今日は


『ブッ殺す!』


何をそんなに怒っているかって?
怒られずにいますか。これが。


ヒールの踵をカツカツと鳴らし、ある一室へとむかった。
その部屋の前に着いたと同時に声をあらげながらドアを勢い良く押し開ける。


『シグバールッ!』

部屋をぐるりと見渡すが、名前の人物が見当たらない。
かわりに寝室に気配。
ナマエはお構いなしにズカズカ侵入。


ベッドには、部屋の主が横向きになって寝ている。


『ぅオイ、ジジィ!』
「んぐぁ!!」


飛びながら思い切りエルボーを脇腹に食らわすと、絞りだす様な声がもれた。


「な、何だ!?奇襲!?」
『寝呆けんな!』
「ナマエ?何、夜這い…」
『お前。私の部屋に入った。』
「ほっ?」

唐突すぎる言葉に、シグバールはきょとんとした顔。

『出せ』
「んなぁーにをだよ」
『言わせんのか。この可愛らしい口から』
「言わねぇとわかんねぇってハナシ。」

ふあぁ、と大きな欠伸をするシグバールにナマエは顔を赤らめた。

『し…下着。』
「はぁ?下着?」
『お前だろ犯人!』
「何で俺が犯人なんだよ。」
『私の部屋からお前の残り香が。あと、お前が一番盗みそうだからだ』
「んー?ああー。行ったな」
『だから出せ。返せ。買ったばかりの下着。しかも何しに…』
「なぁそれ、勝負下着?」

ゴス、と鈍い音がなる。

「いってー…」
『返せ!』
「だぁから俺じゃねぇってハナシだ。」
『じゃあ誰』
「知るかよ。ゼムナスじゃねぇのか。あいつお前探しにって部屋にいたし」

その言葉にの体がピクリと動く。

『あのガングロエロ茄子…!』
「行ってらっさーい」
『サンキューシグバール!』

ナマエはものすごい早さで部屋を跡にした


「んー…?」

シグバールは、足に引っ掛かる何かに手を触れた。
それは、淡いピンクに赤と白の花柄のついた―――ブラとパンツ。

「およ。これナマエのか?」

見れば結構エグイ下着。
そういえば昨日酔っ払って――

「まぁいっか。いただいちまお」
『ゼムナスー!何処に隠れやがったー!』

部屋の外ではバーサク化したナマエによって、殺戮が広げられていた。否定の言葉を繰り返す指導者。

(ならば盗人は誰だと叫ぶ彼女の顔は修羅そのもの。)

あー女の怒りは恐ろしい。

END


イトハン