『ゼクシオ〜ン』

この状況をどうしていいか分からなかった。
誰か助けてくれませんか?
このままでは。

普段より高い体温
赤みを帯びた顔。荒い吐息に潤んだ瞳。
揚句の果てにはこれでもかと言わんばかりに押し付けられた胸。

「ナマエ…離れてくれません?」
『やーですー』
「…お酒臭いんですが…」
『あたし飲んでないもぉーん』

ゼクシオンは小さく嘘つき、と呟いたが当の本人は気にせずゼクシオンに擦り寄ってくる。

「ほら、ナマエ。もうベッドに横になって寝て下さい。」
『つれてって〜!』

ぎゅ、と首に腕が巻き付き、ゼクシオンの耳元で荒い吐息が大きく聞こえる。
思わず身体を震わせたのは素知らぬふり。

「っ…」
『だっこだっこだっこー!』
「分かりました分かりました、大人しくして下さい。」

軽々と抱き上げるとナマエは嬉しそうに笑った。
ゼクシオンは困ったように眉根を寄せたがその顔には頬笑みもあった。

「ほら、ちゃんと布団をかぶっ…」
『あつい』
「……。行儀が悪いです。暑くても、被って。風邪をひいたら困るのは貴方ですよ」
『じゃーあさぁ』

意地悪い顔をし、ナマエは思いきりゼクシオンの腕を引っ張った。
当然、前屈みになっていた本人は倒れ込む形になった。

「ナマエッ!何す…」
『シよ?』
「は!?」
『だってゼクシオン…あたしと付き合っても手出す所かチューもしてくんないし』
「そ、それは」
『だからシグさんとヴィクセンさんが襲えって』

馬乗りになる目の前の女性。紛れもなくゼクシオンの好いたナマエで。
ゼクシオンはただ呆然としていた

「とっとにかくナマエ、退いて下さい!」
『やーだ!』

必死に抵抗するが馬乗りになったナマエは馬鹿力を発揮して押さえつけていた。

『そんなに』
「っ、な」
『そんなにいや?』
「……!」

するりと頬を伝って落ちた雫にぎょっとする。
戸惑っている間にも雫がナマエの頬を濡らした。

「ナマエ、お、落ち着いて…」
『あたしが色気ないから、ゼクシオンはあたしにキスもしてくんないんでしょ?』
「ッ!違います!!」
『じゃあ何で!』

濡れたナマエの頬に手を伸ばし、未だ伝う涙を拭う。
重ねられた手に、ゼクシオンは頬笑みを浮かべた

「僕が貴方に触れないのは…貴方に手を出してしまったら、制御出来なくなるかもしれないからです」
『……え…?』
「貴方の姿を見ただけで、貴方の声を聞いただけで心臓が高鳴る。」

指で涙の跡を辿り、艶めいた唇をなぞるとナマエの身体が震える。
その仕種にゼクシオンは口端を歪めた。

「だから、ナマエに触れてしまえばきっと壊してしまう」
『ゼクシオ…』
「ですがもう必要ありませんね」

ナマエの腕を引き、身体を密着させるとお互いの吐息がかかる。
アルコールの匂いが、二人の感覚をおかしくさせた。

『ゼクシオン…?』
「貴方から誘ったんですよ、ナマエ。」
『ん……ッ!』

後頭部を押さえ、唇を重ねる。きつく抱きしめながら、後頭部を押さえていた片手を身体のあちこちに滑らせた。

『っふ、ゼ、クシオ…、んんっ』
「これだけで」
『ふ、ぇ…?』
「力尽きるのは早いですよ」

息を吐く間も与えず、唇を貪りナマエの舌を翻弄するとゆっくりと身体を反転させた。
コートのファスナーを下ろし、可愛らしい柄の下着が覆い隠すように、少し赤みを帯びた胸が姿を覗かせる。

『待って…』
「?」
『…自分で脱ぐ』

そう言って、服を剥ぎ取っているナマエを見ながらゼクシオンも服を脱いだ。

「…流石に…は、恥ずかしいですね」
『ふふっ』
「ナマエ…」
『ん……』

頬に触れ、軽く口付けると薄く開いた瞳がじわりと潤む。
ナマエの体をゆっくりとシーツの波に倒す。
首筋、鎖骨、胸元にキスを落とすと下にある体がピクリと震えた。

『…ふ』
「触って…いいですか?」
『え?』

見上げるナマエにゼクシオンは笑みを浮かべたまま太股を撫でた。
そして、その手はするると足の付け根に上る。

『っあ…』
「駄目では、ないですよね?」
『……う、ん』

恥ずかしそうに顔を赤らめるナマエに、ゼクシオンは少しだけ保ち直した理性が崩されそうになるが堪えて頬笑んでナマエの手を握った。

「…ナマエ」
『ごっ、ごめん…』
「濡れてる」
『だって』
「何です?」
『ゼクシオンとたくさんくっついてるから』

可愛い事を言ってのけたナマエにゼクシオンの心拍数が更に早くなる。
堪えきれず指を2本差し入れ、掻き回した。

『やっぁ……!』
「嫌、はナシです。」
『んんッ…』
「ッナマエ、あまり締め付けないで」
『しめてな…っ…あぁ!!』

握られた片手の反対は堪えるようにシーツを握り締めている。
とろん、とした瞳と甘い声はゼクシオンの興奮を高めた。

「可愛いですね、ナマエ…」
『んゃ…ゼ、クシオ…』
「早く、壊したい…」
『っ!!』
「あぁ、ここ?…いいですよ」
『やっ…やぁ……!!』

一際高い声を出し、ナマエの体が反り返る。
だが、ゼクシオンは指の動きを止めずナマエの反応を楽しんだ。

「ちゃんと達しました…?」
『いや…ゼクシオン…っ、待っ…』
「止めていいんですか?」
『……っ…だっ…て、ゼクシオンが、ほ、しい』

そう呟かれた言葉にゼクシオンは目を見開く。
恥ずかしそうにナマエは唸っていて。

「…いいですよ」
『あ…』
「すみません、余裕がありません」
『いいよ…来て』

ナマエの腕が絡まり、距離が近付く。ゼクシオンは自身を数回扱き、入口に宛がった。

『舐めてあげよっか…?』
「今日はいいですよ」
『え…?』
「早く繋がりたいので」

にっこりと頬笑むと同時に自身を埋め込むとナマエの体が強張った。

『――ッ!』
「っは……」
『い、きなり…!!』
「言ったでしょう?」
『なに、っあ…!!』
「早く、繋がりたい、って」

ナマエを容赦なく攻めながら、ゼクシオンは耳元で囁いた。
これでもか、と思う程きつく抱きしめられ中は締め付け、ゼクシオンは顔を歪めた

『きもち…っぁ、い……?』
「…もちろん。聞くまでも…な、いでしょう?」
『あた、し経験…んくっ…少ないか、ら…ァ』
「少、ない方が…いいに決まってる…」

お互い高みに上り詰め、吐く吐息が荒くなる。
ナマエの胸がゼクシオンの体に触れ、ナマエは快楽を増した。

『やっも…ダメ、ぇ…』
「ん……」
『…ッあ、あっぁ…!……き、れい…だっ…ね…』
「ん…?」

呟かれた言葉に聞き直すがナマエの甘い声と卑猥な音が掻き消して行く

『ゼクっ…シオ、ン…やっぱり…綺麗…』

うっとりと頬笑みを浮かべ、甘噛みするように耳朶を口に含んだナマエ。
軽い刺激を受け、ゼクシオンは最奥を突いた。

『っあぁあ!!』
「ッ…」

一際高い声をあげたナマエ。今まできつくゼクシオン自身を締め付けていたが更に強く締め付けた

「ナマエッ…!」

体内から自身を引き抜くと白濁がナマエの身体を汚した。

『あ……ぅ…』
「はぁ……はぁ…」
『…ゼ、クシオ、ン』
「っは……。はい…?」

お互い息を整えていたが先にナマエが口を開いた。
気怠そうにナマエはゼクシオンを見つめ、頬笑みを浮かべる

『すき』
「……」
『…大好き…』
「ナマエ…」

"自分も"。そう言おうとした瞬間、目の前の彼女はすでに夢の中。
「まだ僕も言ってないのに途中で寝ないで下さいよ」

ナマエの頬をむにむにとつまむが酒も入っている所為か、一向に起きる気配はなかった。

「…参りましたね…」


ぼつりと呟き、先程までゼクシオンの熱を受け入れていた蜜壷に指を入れた。

「貴方から誘ったのに…本当、つれない人ですね」

指に絡まる愛液を舐め取り、起きそうにないナマエの足を抱えた。

「まだ足りないんですよ、ナマエ」

口端を歪め、ゼクシオンはナマエの身体を貪った。
翌日、記憶のなくしたナマエが腰痛に悩まされたのは彼しか知らない。


END

雛森様リクです。た、大変お待たせいたしました…!ほ、本当に申し訳ありません…
お待たせした揚句こんなんで本当にすみません。土下座した上に重し乗っけて結構ですよ…!
雛森様のみお持ち帰りおkィです
リクエストありがとうございました!


イトハン