迷子の迷子の子猫チャン。
こんな夜更けにどうしたの?


『ねぇ勉強おしえて』
「……俺、頭悪ィから無理」
『いーじゃん。中にレクセウス達もいるでしょ』
「…ハァ…入れ」

薄い肌着のままの子猫チャン
悪いオオカミに食べられても

「知らねーぞ」


パタン。


「おや、ナマエ」
『うわ、お酒くさい』
「嫌なら出てけってハナシ」
『五月蝿いよシグ』
「どうしたんだ?」

揃いも揃ってむさ苦しい部屋。ナマエの顔が歪む

「お前らに勉強教えてもらいに来たんだと」
「は?」
『明後日テストなんだけど、わかんないところがあってさぁ』
「アクセル達に聞いた方がよかったのでは?」

ルクソードは器用な手つきでトランプを束ねる。
カードがあっという間に綺麗に並んだ

『アクセルとデミックスは喧嘩…かなー?何か取り込んでたしロクサスはナミネちゃん達と勉強会するから遅くなるって言ってたし』
「ふーん」
『シグはどーかと思うけどオジ様な、みんななら頭いーかなと思って』
「お前やかましい」

シグバールはこつんとナマエの頭を小突き、髪の毛をくしゃりと掻き乱した。

「ん?いー匂い」
『ギャー!酒臭くなるっ』
「シグバールがすると…ただの変質者だな」
「ひっでーなレクセウス。お前だってムッツリだろーが」
「…言ってろ」
「ムッツリ〜」
「おや、否定しないのか」
「あいつに何を言っても裏目に出る事は学習済みだ…」

溜息を吐くレクセウスの肩をルクソードは哀れみを込めて叩いた

『レクセウス、これ教えて』
「ん?あ、あぁ…」
「数学?」
『そ!』
「ナマエ頭悪いのなー」
『うるさいよーシグ!』

教科書とノートを広げるとシグバールがペンを奪い取る。
ナマエが不思議そうな顔をするとニヤリと笑みを浮かべた

「ドコがわかんないって?」
『シグにわかるわけ…』
「ナマエ、言っておくが数学ならこいつが一番だぞ」

酒を煽るザルディンにナマエは眉を寄せた。
ふふん、と得意気に笑うシグバールを見てザルディンが嘘をついている様には見えなかった。

『じゃ…あ、まずは教えてもらおっかな』
「んー。おら、お前らは酒呑んでろ」
「お前のが無くなっても文句は言うなよ」
「チッ…」

そしてまたわいのわいのと騒ぎ始めた面々に舌打ちしたシグバールはナマエに視線を戻し、にこりと笑った。


*****


「で、xを導入して…こうなる」
『おぉ!』
「分かんねーとこある?」
『ううん全然!シグ教え方上手いね!』
「そーか?ほら、じゃあこの問題解いてみろ」
『うん!』

騒がしい中、ナマエはひたすら問題を解きつづけていた。
ふと、視線を感じてナマエは顔を上げてシグバールを見ると見つめる目が優しかったのでナマエは固まってしまった

『な、なに?』
「んや、見てて飽きねーなぁって」
『え…?』
「小さい事で喜ぶお前が可愛いなーって」
『なっなな何言って…』
「なぁ」
『何っ』
「ご褒美くれよ」
『学生に何、奢らすの…?あ、あまり高いのねだらないで…』

ペンを取られ、ノートに文字が綴られて行く。
シグバールにしては綺麗な字だなぁと思いながらナマエは文字の途中で視線がぴたりと止まる。

「ん。」
『……っ』
「答えは?」

顔を真っ赤にしたままナマエはペンを受け取り文字を書く。
その言葉にシグバールは嬉しそうに目を細めた

「…イイ子だ。こりゃ楽しみだなぁ…ナマエ。」
「ナマエどうだ?終わったか」
『!!』

ザルディンの声にナマエは勢い良くノートを閉め立ち上がり、それに驚いたザルディンは目を見開いている。

「ど、どうした?」
『…もっ、もう完璧だから!』
「ナマエ、結構覚え早ぇーぜ」
『……シ、シグありがと!』

慌てて部屋を出ていき扉を閉めるとナマエはノートを開いた


"ごほうびに、ナマエがほしい"

『解けるわけないじゃんかこんな問題ッ…』

その後ナマエが答えをどう返したのは、また別のお話――



END

えらく長いしえらく意味不明なお話になってしまった。
シグは頭悪そうに見えるけど実は頭がいいと思う。


08.11.09



イトハン