囁かれる言葉は脳を刺激して
触れられる指先は身体を刺激する
彼は私の全てを知り尽くしているから、私は思うがまま翻弄されて行く。
私はもう既に、彼に捕われてしまった獲物なのだ。


何度目の交わりだろう――そう考えている間にどんどん追い詰められて高みに昇る。
冷たいシーツが今は暖かくて、それはお互いの熱…違う。私だけの熱かもしれない。その熱でシーツが暖かいのだ。
抱き合う身体は熱い。なのにぽたりと落ちてきた汗が冷たく感じた
『ね…終わろ…?』
「…嫌です」
『や、もっ…むり…ぃ…ゼクシオンッ…!!』

ゼクシオン、と呼ぶと彼は意地悪い笑みを浮かべて私を貪る。
正直何度も達しすぎて身体ががくがくと震えてる。
明日は動けなくなる、そう考えると憂鬱だった。

「嫌、ですか?」
『…あしたっ…任務、なのにっ…怒られ、る』
「休んでしまえばいいんですよ…」
『ヴィクセンだから…無理…』

綺麗な手が荒く息を吐く私の口を押さえる。酸素を求めてゼクシオンの手を退かそうと掴むがびくともしない
その間にも、繋がった部分は卑猥な音を立てていた。

『んっ、ふぅう!』
「なら、尚更休みましょう?」

ね?と可愛く強情るゼクシオンの顔が近付く。耳の縁を舌先でなぞられ、身体が跳ねた。
いやいやと首を振ると軽く耳を噛まれ、目をぎゅっと瞑った。閉じた瞳から涙が落ちたのが分かる。
「僕、明日休みなんですよ。」
『ふ、んンっう』
「だから、ナマエも休んで?明日は僕と一緒に居てください」
『っ、んぁッ…、く、ふ』

限界が近く、別々の場所を攻め立てられて意識が遠退く。けれど身体を支配していた快楽が冷めて行った。

『…ふ……?』
「ナマエ、」
『……?んう…、うー』
「腰、動いてる」

早く達したくて、その擽ったい感覚に涙が溢れ出る。
動く気配のないゼクシオンを見つめると、濡れた口端が上がる。

「続き、欲しいですか?あぁ、でもナマエは明日任務だから…この辺りで止めましょうか」

ゆっくりと引き抜かれるゼクシオンの熱に、制止の言葉をかけたいのに口は今だ塞がれたまま。
微かに開いた唇の隙間から舌先を出して塞ぐ手を舐めた

「ん」
『…ん、ふ…』
「……」

押さえる手が離れようと力が抜けたのが分かる。一度くっついていた肌が離れて行くのが寂しくて、指先に舌を絡めた。ゼクシオンは驚いたがすぐに笑みを浮かべた。
「どうしたんですか?」
『……続き、したい』
「明日、任務行けなくなってしまいますよ」
『ゼクシオンから…ヴィクセンとリーダーにちゃんと説明して…』
「…いいですよ」

ゆっくりと顔が近付く。唇が重なり、舌が絡まるのは時間はかからなかった

『ん!!んっぅ…!!』
「は…っ」

ギリギリのところまで抜かれていた杭を不意打ちで打ち込まれ、甘ったるい声が漏れる。
与えられる熱に酔って乱れる。我慢していた欲はあっさりと快楽の高みに上り詰めた。
数秒して、ゼクシオン自身が奥で脈打つのが分かった。

「は…」
『はぁ…はぁ』
「ナマエ…」

抱きしめられるように擦り寄られまるで母親に甘える子供のようだと思いながら重たい身体を動かして抱きしめ返す。

「…具合は、どうです?」
『あちこち…痛いよ』
「ふふ、すみません」
『もぉ…笑い事じゃないって…』

ゼクシオンの頭を撫でるように髪の毛に手を滑らせた。
まだ少し火照った顔が色っぽく、先程まで激しく求められていたと思うと身体が疼いた。

「ナマエ」
『んー…?』
「…明日、何して過ごしましょうか…」
『…わかんない…ゼクシオンは?』

情事後の気怠さに眠気が襲う。小さな鼓動と、だんだん遠くなる声。

「僕は…ナマエと一緒にいられれば…。それだけでいいんです」

額に温かな感覚があった。ゼクシオンの言葉に返事をしたつもりだけれど声にならなかった。
離さないように、またきつく抱きしめられ、夢の中へ落ちて行った。

次の日、もちろん身体のあちこちは痛み、一緒に任務に行くはずだったヴィクセンに小言を言われたのは言うまでもない

END

88900を踏んでいただいた神無月さまリクエストで策士の甘裏夢です
…甘く、なっているでしょうか。非常に心配。そして初っ端からピンクい雰囲気すみません!気にいらなければどしどし申し付け下さい!
神無月様のみお持ち帰り可能です〜リクエストありがとうございました!


090415


イトハン