彼女は羽をもがれてしまった蝶のようだ
動くたびに、じゃら、と鳴り響く音。それは逃がさない証。


「…待たせたか?」


持っていた銀細工の食器をテーブルの上に置く。


「おいで」


そう優しく呼ばれるも、ナマエの身体は動こうとしなかった。
拘束物の所為ではなく、自分の意志。


「ナマエ、おいで?」
『………』
「ん?」
(優しい顔の裏には、悪魔の顔が隠されている。)


ナマエはそう考えていると溜息を吐くのが聞こえた。


『……』
「…俺を怒らせたいのか?」


そう言うと、慌てて傍に駆け寄るナマエ姿に身体の奥が疼く


「…いい子だ」


ソファに近寄ると満足そうに頬笑んだ。


「座れ。」
『……しつれ……ます…』


長い時間出さなかった声は擦れ、言葉は途切れ途切れの単語を吐き出した
しかしそれは声を長時間出さなかっただけではないだろう。


「声が枯れてしまってるな」
『………』


そう言い、骨張った指が喉に触れる。


『……っ!ル……クソー、ド…』


思わず身体を震わせて後退さるナマエに苦笑う。


「そんなにビクつかなくても別に何もしないさ。」



ナマエはそう言われ、ホッ、と胸を撫で下ろす。それと同時に、腰に手がまわり傍に引き寄せられた。


「食べないと、また痩せてしまうからな」
『……い……』
「ナマエ」


いらない、と拒否の言葉を吐いたナマエはルクソードの眼光に下を向いた。


「…仕方ない。」


そう言って、食事を自分の口に運ぶルクソードを見て安心した。


(ああ、よかった。食べなくて済んだ…)



そう安心していたが顎に手を掛けられ上を向かされた。それと同時に口付けが交わされる。


『ぅ………!』


咥内に入り込む異物。それがルクソードの口に入れられた食物という事に気付いたのは舌がそれを押し込んだ時だった。


『ん……ぁ…』



抗う統べもなく、食物は喉を通って行った。


「美味しいか?」
『………っ』
「こうでもしないと食べないからな。ナマエは」


そう言ってルクソードはにやりと笑う。
ナマエはその場から逃げようと立ち上がろうとするがルクソードの手に引き戻される。


「逃げるな。」
『ルク…ソー…ド、私は…いら…な……です…』


そう抵抗すると顎を捕まれ、ルクソードが口に食事を含み、再び口付けられた。


『んぅ―――……っ!』
「…は……っ…無理にでも食べさせる。」
『や……』
「それとも仕置きがいいか?」


ナマエはその言葉にびくりと身体を震わせた。



『ぃ、や…!すみ……ませ…』
「分かればいい」


恐怖に思わず涙が流れだしたその姿に何かが壊れそうになる。


「ナマエ…泣くな…」
『ふ……っ…う…』
「お前のその苦しむ姿に……そそられるんだ」


首筋に吸い付くと、更に涙を出す


「ナマエの食事は後でにしようか」
『う……っ』
「俺の食事が、先だ。」
「い、や…嫌ぁっ!」


そう言うや否や、ルクソードはナマエをソファに押し倒す。


「すぐ終わる。」
『や、いや…だ……食べる…食べるから……っ』
「ああ、後でな」


白いカッターシャツの釦を一つずつ外し、頬に口付ける。


抵抗しようにも、両手は束縛され虚しく音がなるだけだった。


「…ナマエ」
『嫌、だ…』


釦が全て外され、その白い肌にルクソードは舌を這わせた。


『………ッ!』
「印と跡…」


その白い肌には先日の営みでつけられた無数の印


『いッ……!』
「俺の印でいっぱいだな」


そしてたくさんの暴力の跡。
切り傷や鬱血したものまでたくさんだ。


『はっ……あ…ぅ』
「俺の、」



そう呟いているうちに衣類を全て剥ぎ取られていて、下腹部の嫌な感触にナマエは驚いて上半身を起こした。


『や、待っ……』
「待たん。」
『いっ……!ぁ―――――ッ!』


慣らされていないソコに屹立したルクソード自身が無理矢理ねじ込まれた。
痛みに声をあげるが、枯れ果てた声は呼吸を繰り返すだけだった。


「………キツいな…っ」
『うぁ、あ…っ…い……た…』
「痛いはずないだろう?毎日同じ事をしているのだから」


ぐ、と腰を押しつけるとナマエは顔を歪めた。


『ひっ、あ、ア…ぁっ!』
「…いつも入れても血は出るんだな」
『やめて…くだ……ルク…っ』
「何故だ?……濡れてきているというのに?」


無理矢理に挿入したソコからは血が滴るが、それに加わって快楽の蜜が溢れ出す。

『ひぁっ!あ、んんッ!』
「ほら、お前の蜜だ」


ソコに触れられ、思わず身体が跳ねる。掬い取られた愛液をルクソードはナマエに見せ付けた。


『ヤ……!』
「恥ずかしいか?こう、されるのは」


蜜のついた指をナマエに見せ付ける様にぺろりと舐め取るとナマエは顔を真っ赤にした。


『………ッ!』
「素直な躰だ…。」
『ふぁ……っう……』
「ナマエ…」


ゆるゆると腰を押しつけていたルクソードの腰が次第に早くなる。多大すぎる快楽にナマエはただ喘ぐしか出来なかった。


『あぁっ、は………んぅ…っ』
「……っ」


唇を噛み締めているナマエの唇をこじ開ける。快楽に浸りすぎて自ら開いたその中に舌を侵入させる。


『ア……んふ、…む…っ』
「ん……」


ルクソードの低い響きさえナマエの身体には快楽を与える。口付けながらの律動に高みに昇るのは早かった。


『や、も……っ!あぁぁっ!!』


びくん、と弓なりに身体を反らせてナマエは達する。


「…誰が先に、イけと言った」
『はっ……あ、すみ……ませ…』


達して中を締め付けられ、ルクソードもナマエに腰を押しつけて中へと欲を吐き出した。


『はぁっ……はぁ…っ』
「……」
『ル、ク……ソー…ド……』
「っ………」


縋る様な声にぴくん、と自身が震えたのが分かった。


「……ナマエ」
『や…だ……嘘……!』
「動くぞ」


たった今快楽を終えたばかりなのに、ルクソードはお構いなしに律動する。


「……滑りがいい」
『ん、あ……っ…やめ…』
「すごい音だな」


その言葉でさえ、達した後のナマエの身体には響く。


『く―――――ァっ』
「っ、このまま、時を止めれたらいいのにな」
『苦し……ル、ク……っ』
「手放したく…ない…。」


大きな両手はナマエの細く白い首に力を込めて合わされ、執拗にナマエの感じる所のみを責め立て、ナマエは二度目の高みに果てた。


『ひッ…あ――――…!!』


身体が大きく跳ね、ナマエは意識を飛ばした。
動かなくなったナマエを覚めた瞳で見つめながらもルクソードは律動をやめなかった。


「おや…壊れたかな?」


止まらない涙を舌で舐め取り、低く唸って二度目の欲を吐き出した。


「逃がさなければいいのか。この部屋で一生…」


首についた手形を見てにやりと笑う。


「…愛でてやろう」


首筋に噛み付き、流れる血を味わった。


ああ、そうか。彼女を離さなければ、自分は傷つかなくて済む。もっともっと非道く、残酷に扱って壊してやれば抵抗も失せるだろう


ナマエの叫びなど聞かぬ振り。何故なら、ナマエも俺を愛していてくれてると思っているから。
奴を想ってても知らぬ振り。

(彼女の慟哭は聞かぬ振り。)


儚くも美しい愛しき、彼女。もっともっと壊して、時を止めてやろう


END

珍しいルクの鬼畜夢。



イトハン