長い長い廊下の先――その部屋の扉をノックし、青年は部屋へと足を踏み入れた。

「お呼びですか」

青年の目の前に居る男の銀の髪がさらりと揺れた。
閉じられていた瞼がゆっくりと開き金の瞳が青年を捕らえた。

「先日、見つけた"あれ"についてだが」
「…ナマエ、ですか」
「我々と違う能力を持つ者…、それが手元から居なくなるのは非常に厄介だ。」
「……」
「――我々機関の掟は?」
「機関に刃向かう者は容赦なく消す。…それとあの娘に何の関係が?」


訝しげに顔を顰める青年に褐色の肌の男は口端を吊り上げた。


「孤独だったから連れて来たが少々、我が強くてな…。それに彼女は"ヒト"である所為か精神が不安定だ。いつここから逃げようとするか分からん。」
「…では?」
「逆らわぬように指導しておけ。」


青年は何も言わず一礼して背を向ける。
ドアノブに手をかけ、呟くように問い掛けた。


「教育係兼監視役は俺で良い、と言う事で?」
「好きなようにするがいい――お前に任せたぞ、サイクス。」


名を呼ばれた青年は、にやりと笑みを浮かべた



長い廊下を歩き、広い廊下に足音が響く。
一つ、二つ。
サイクスの身体に衝撃が走り、衝撃の原因を見遣ると鼻を押さえて唸る少女。


「…ナマエ」
『げっ、サイクスさん』
「なにをしている?大人しく与えられた部屋で待っていろとゼムナス様に言われただろう」
『……』


押し黙るナマエの手をサイクスはがしりと掴み回廊へ投げ込む。
そして彼もまた続くようにくぐり抜けた。
辿り着いた先はゼムナスに与えられたナマエの部屋だった。


「何度言えば、分かるんだ」
『……』
「ナマエ」
『こんな…怖いところにいるのは嫌です』
「これから住むのにそう言われても困る」
『貴方では、お話になりません。ゼムナスさんに逢わせて』


噛み付くような物言いにサイクスは溜息を吐く。
ナマエは身体をびくりとさせたが眼光を鋭くした。


「残念だが、ゼムナス様から俺がお前への教育係になるよう承った。」
『!』
「お前が逃げたり」


カツン、とブーツの足音がやけに部屋に響いた。
無表情のまま、サイクスはナマエに近付く。
いつもと違うサイクスに異変を感じたのかナマエは後退る。

『に、逃げるなんて…そんな事しません』
「刃向かったりしないよう」
『サイクスさん…?』


細く、長い指がナマエに伸び頬に触れ、撫でるように首へと下りてきた。
そして、ぐ、と首を締め上げるとナマエの手は反射的にサイクスの手を捕まえる。


「躾なければ、いかん」
『ッ!?…っか…はっ!』


片手は首を締め上げたまま、開いたもう片方の手でナマエのコートのファスナーを降ろす。
繋がったままの銀細工が飛び散り、金具が落ちる音が部屋に響いた。

「ナマエ」
『やっ、め…、…くっ!』
「お前は男を知っているか?」
『サ、イクスさっ…』

衣服が乱暴に脱がされてゆく。
締め上げられ呼吸もままならないナマエは力が抜け、崩れ落ちそうになる。が、サイクスはそれを許さなかった。

「お前に教えてやろう」
『なっ、くほっ…』
「機関からは、逃れられないと」
『や、め――うあ゙ぁああああ!!』


ぎち、と肉の裂く音が聞こえた。同時に錆びた匂いが鼻に付く。

「何だ…お前、まだ知らなかったのか」
『っひ…痛、い、やめ…』
「丁度いい」
『あ゙ぐッ』
「お前の身体に存分に叩き込んでやろう」
『やめ、てッ』
「俺の教育は、厳しい、とな」


無理矢理貫かれた揚句、否応なしに律動を繰り返されナマエは悲鳴を上げた。





それから何時間たったか。
部屋には水音と、甘い吐息、脱ぎ散らかした衣服に虚ろな瞳。
頬を濡らす雫を、サイクスは舌先で舐め取った。

「ナマエ…」
『っは…ぁ…』
「心ある人間は脆いな。つまらない」


ナマエの白い肌に噛み跡を残し、サイクスは衣服を整える。
ナマエはサイクスが動くたびに怯えた瞳を向け、自分を守るかのように腕で顔を覆った


「機関からは逃れられない」
『ッ、ひっ…』

震える唇に、口付ける。それは先程終えた非道い仕打ちとは逆に優しい口付けだった。
それから、ナマエはずっとサイクスと共に任務を与えられ、城に居る間は部屋に閉じこもったり、度々サイクスに非道く扱われるようになった。


『…』


長い報告書を書き、そしていつも通りに最後の一列を書き綴る。
溜息を吐き、ナマエは風呂場へ向かう。


『気分、悪い……』


眩暈に似た感覚が襲い、洗面台に手を付く。真っ青な顔と首に見える赤い跡が目立って、唇を噛み締めた。
同時にものすごい吐き気に襲われ縋るように鏡に爪を立てた。
嘔吐物は出なかったものの胃や口の中がすっきりせずゆっくりと顔を上げて鏡の中の自分を見た。
相変わらず真っ青な顔の自分と、その後ろに立つサイクスの姿にナマエは驚く


『ッ!!サ、サイクス、さん』
「ナマエ、お前…」


頬にそっと触れる手に普通の人ならば安堵するだろう。だがサイクスの手は冷たく、ナマエの全てを引き攣らせた。


「くくっ」
『な、なにが…可笑しいの…』
「ナマエ」


ナマエの体を挟むように洗面台に手をつき、耳元で囁いた。
耳に当たる吐息は熱く、ナマエの身体が震えた


「孕んだか」
『…え…』
「まったくお前は…本当に俺の期待を裏切らない」
『やッ…ぁ』


舌先が耳の縁をなぞり、そして耳に突き立てられる。逃げようと藻掻くナマエの後頭部を掴み、サイクスはナマエの耳を舌先で犯す


『ひ、ぁ…や、めてぇ…っ』
「これでお前は永久に逃れられなくなった」
『あっ、んん…!!』
「"俺"から。」


卑猥な水音が鳴り響き、がくんと崩れ落ちるナマエの身体。サイクスは濡れた唇を親指で拭い、崩れ落ちたナマエの髪の毛を掴み上げる。


『ッあ』
「…愛している、ナマエ。お前も、その"子"も」


涙を零すナマエに、優しい口付けが降る。
恐怖を感じながらも、ナマエがサイクスを拒まないのは――もうお互い言わなくても分かっていた。


「愛している……」



END

大変お待たせしました…!!
もちゃ餅様リクエストで"純潔を奪って身篭らせる感じ"だったのですが…。
果たしてリクエスト通りになっているのか危うい。
そしてぶっちゃけ7にもっと非道い事させたかったとか思ったけどじじゅーした。
もちゃ餅様のみお持ち帰りおkです!

090921


イトハン