『男がなによ!くそくらえー!開けてルクソード!』

扉を荒々しく叩かれ、開いた先にはべろべろに酔ったナマエ。ナマエが帰ってきたのは深夜間近の事だった。

『だいたい、おかしくない!?わたしが、同じ世界の人間じゃないから、これからずっと付き合えないとか!』
「あぁ…」
『ルクソード!聞いてんの!?』
「ああ、聞いている。ナマエ飲み過ぎだ」
『うるっさい!わたしの話を聞けっ』


千鳥足でソファを立ち上がりルクソードに近付く。ルクソードに跨がり、思い切り短い髪を引っ張り始めた。


『なによ!ルクソードまで私のこと邪魔者扱い!?』
「いたたた」
『ひどいー…』


こてんともたれ掛かり、ナマエの泣き声が部屋に響く。
ルクソードは苦笑しながらもナマエを落ち着かせる為、背中を撫でた。

『いっつも、そう。私が好きになる人はみーんな逃げてっちゃうし』
「俺と真逆だな」
『うるさい、この詐欺師…なに自慢してんのよ…』
「ピアスは引っ張らないでくれ、痛い」

ナマエの両手を掴み上げ、ルクソードは固まる。
ボロボロと涙を流し、酒の所為で赤らんだ顔に見惚れたのだ。

『なによ』
「随分、女性らしいんだな」
『失礼な人だよね…』
「もう泣くのは止めなさい。せっかくのクリスマスなんだ」
『…そう、クリスマスなのに…一人ぼっち。それにルクソードも過ごす人がいるのに邪魔してごめんね…』

ルクソードの膝の上から退こうと足を地面に伸ばすと、自身の身体が横向きになった。
ナマエは状況が分かっていないようで、瞬きを何度もしていた。

『え』
「別に過ごす相手なんていないぞ?過ごしたい相手はいるが」
『なら尚更』

ナマエの言葉を遮るようにルクソードはナマエの身体をぎゅう、と抱き寄せて顔を近づける。
そしてそっと、頬に触れて頬笑みを浮かべた。


「ナマエと過ごしたい」

耳元で囁くように呟くと、ナマエは苦笑してルクソードの手を退けた。


『…慰めてくれてありがとう』
「非道いな、本気なのに」
『だって』
「俺はナマエと過ごしたいのにナマエはあの彼と過ごすと言っていたからな。今年も一人寂しくクリスマスを迎えると思っていたが…」


額にちゅ、と口づけると擽ったそうに目を細めるナマエにルクソードは頬笑んだ。

「どうやらサンタはずーっといい子に待っていた俺にプレゼントを持ってきてくれたようだ」
『プレゼントって…私?』
「あぁ」
『私はものじゃありません…』
「俺のものだよ、君は」
『気障…』


かち、こち、かちり。
時計の針が12時を回る。そして、ルクソードの手がナマエの手を包み込んだ。

「メリークリスマス、ナマエ。」
『メリークリスマス…』
「俺と過ごしてくれるかな?」
『…プレゼントくれるなら』
「俺でいいかな?」
『んはっ、なにそれ!』

(彼は迷い込んだプレゼントにご機嫌でした。)


END

相変わらずきざきざな10。実は裏で糸引いてたりとかしちゃって。
メリークリスマス!


イトハン