こんにちは

「あなたが、黒崎一護…?」
突如俺の前に現れた死神に目を惹き付けられた。

斬魄刀を抜くことも無くただそこに立ち冷静な眼差しで俺を見る。その目はとても綺麗だった。そして彼女はどうして、と言葉を発した。どうして?とはどういう意味だろうか。そのまま彼女の声に耳を傾けた。
「どうして、刀を抜かないの」
「そりゃあ、あんたも抜いてないし。…そもそもあんたは俺を殺す気ないだろ」
すると彼女はきょとんとさせてその後小さく笑った。笑うとこあったか?と聞くが彼女は答えなかった。そしてまた口を開こうと彼女がした瞬間、違う霊圧を近くに感じたのかまた顔を変えてついてきてとだけ俺に言い背中を見せた。
連れてこられた場所は地下だった。
腰を落ち着けて手を差し伸べられた。握手か?と疑問に思いながらもその手を掴もうとするとぐいっと引っ張られ地面と挨拶する羽目になった。なにすんだ!と怒鳴りつけるものの気がつけばまた澄んだ目で俺の体を見ていた。
「な、なんだよ」
「ちょっと横になって。傷、治すから」
その声に嘘偽りないと何故か信じてしまった。出会ってすぐの死神に黙って手当てをしてもらうなんて傍から見たら異様な光景だろう。しかしそう思わせないほど彼女の目は真剣そのものだった。
「時間がないから、そのまま答えて欲しい」
「なんだよ」
「あなたは、何の為にここに来たの?」
「そんなの決まってるだろ。ルキアを助けるためだ」
彼女の目が大きく見開かれた。そして納得したように、そうと簡単に答えて手を動かした。彼女の霊圧は何処と無く温かかった。
「ゆっくり話す時間が無いから、このまま聞いて」
「ああ」
「ルキアは人間に力を譲渡した重罪で処刑されることになった。今は隊舎牢を出て懺罪宮にいる。処刑される場所は双極の丘。もう日がない」
そっと肩に手を当てて霊圧を込める。
「黒崎一護。私も、この処刑には反対なの」
「は?」
「ルキアを助けたい」
俺の傷は完全に塞がった。そっと手を離した彼女は真っ直ぐと俺の目を見ていた。助けたいと口にするその言葉は本音なのだろう。しかし裏腹に何かを隠しているようだった。
「このまま貴方と行動を共に出来たらいいんだけど、」
彼女にも死神としての立場があるのだろう。どうしてもしないといけないことがあるのだという。
「私は私で動く。何かあれば私は貴方の力になるから」
先程と同じ様に手を差し伸べた。恐る恐る彼女の手を握ると再び温かい霊圧に包まれた。