十代の愛は、いつも私に向いている。
三年もずっと、彼は私に好きと言う。
言葉だけじゃなくて、行動の節々から彼の無茶苦茶なほど真っ直ぐな愛を感じてきた。
斯く言う私は、特に誰を好きでもなく、むしろデュエルに恋しながら生きてきた。十代も、最初は私をライバルだって言ってたくせに、今じゃそんな言葉は全然聞かない。
もちろん、十代な嫌いなわけじゃない。 デュエルにかける思いは本物で、どれだけ強くても傲るとこがなくて、素直にすごいと思う。
おまけに、見た目は良いわ、運は良いわ、運動神経は良いわ、人当たりは良いわでDA内の女子人気は、表立っていないだけでかなりある……と聞いた。
そんな人に好意を寄せられて、不遜で不躾かもしれないけど、私側に愛がないのだから仕方ない。
こんな気持ちで答えるなんて、それこそ礼儀がなってないと言うもんだ。
人間として、当たり前だろう。
でも、彼の愛から逃れられないのも事実。
十代の愛は、まるでピストルみたいにいつも私を狙っている。
避けようと思っても、私ごときの反射神経じゃ間に合わない。
今も真っ直ぐに見据えられ、身動きがとれない。背を見せたら、最後だと思う。
「好きだ」
そんなことを言われてもお手上げである。何度も言うが、私に十代に対する好意は無いのだから。
十代は言葉を濁さない。
回りくどい言葉を使わない。
まるで、透明な……透明すぎて底が見えてしまう水のような言葉を並べてくる。
いや、並べると比喩するほどの言葉は無い。
だって、十代はいつも「好き」しか言わないから。
「私も十代は好き。でも、十代の好きとは違うよ」
典型文となった返事をし、私は十代の脇を通ろうとする。でも、十代は私の腕を掴んで引き留めてきた。 これも何回かあったから、驚きもしない。
「………」
こういう時の十代は、何も言わずただ真剣な双眸で私を見詰めてくるのだ。
三年で身長がかなり伸びた十代は、今は私を見下ろしてくる。入学当初は、同じ目の高さだったのに。それがとても悔しかった。
「止めてよ……」
十代に見詰められると、すごく辛い。いつからか、辛く感じるようになったのだ。
恋とは違うと思う。だって、初恋の時とは辛さが違うもん。
私は、自分から…そして、十代の思いから逃げているだけなのだろうか。きっと、そうなんだと思う。なら、この辛さは罪悪感か? 冷静に分析する自分に嫌気がさした。
ひねくれてるな と自嘲しながら、私は十代の手を振り払う。そして、内心を悟られないように彼に告げた。
「デュエルしようか」