夜が怖い子供


「警部…怖いよ…」

その小さな肩は小刻みに震え、自然と庇護心が煽られる。

私はその肩に腕を回し、名前を抱き締めた。
彼女は安心したように微笑み、静かに瞼を下ろす。

私はほっと小さく息を吐き、名前の穏やかな寝顔を見つめた。

彼女は夜が苦手だ。
というよりは、暗闇が苦手だ。

昔に蔵に閉じ込められたことがあるようで、それから闇を毛嫌いするようになったらしい。

今は私が彼女についているが、私と出会う前の名前はいったいどうしていたのだろう。
私以外の人と肩を並べていたのだろうか。

そんなのは過去のことで、今さら何をしたって変わらない事実だというのに、気になってしかたがない。

それはきっと私が彼女を好きだからだ。

好きだから気になって、好きだから苦しくなり、好きだからそばにいる。

それは好きである限り当然の道理であり、私は普通に恋をしているのだ。

だから、彼女が他の人に支えられていたのだと思うと辛くなる。

今ここで彼女を支えているのは私なのだから、気にしなければいいのだと言われればそこまでだが。

名前の柔らかそうな髪を撫でる。
こうして落ち着くのは、彼女ではなく私の方だ。

私は身勝手に彼女にすがっている。
彼女を好きでいることで、自分を支えているのだろう。

不安定なのは私の方だった。

こうやって無防備に寝顔を見せるのはどうか私だけにしてほしい。

ドロドロとした気持ちは胸の内にしまって、表面上はかわいそうな女の子をあやす優しい人を演じる。

正しくは私がかわいそうなのだが。

「名前……名前……」

この名を紡いでいいのは私だけで、この肩に触れていいのは私だけ。

きっと私はもう、彼女がいない夜を過ごせないだろう。

こうして、そばに鼓動がないとおかしくなってしまうのだと思う。

彼女以上に夜が怖くなっていたのは私の方。