伝う温度に溢れた感情*
主のこと変な女だと思ってるのに、自分と同じ名前の男のことを思って涙する主のことが気になり始める。そいつと俺は何が違う?
好きな人と同じ人物がいたら拒めないよなぁ…な際どい話なので苦手な人はご遠慮下さい。
まだ名前変換ないです。
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「あの…百ちゃん?」
百ちゃんに掴まれた箇所がじわじわと熱を持つ。何故かいつも通りにしろと言われ、『百ちゃん』と呼べば目の前の無表情な男はこくり、と頷いたのだ。可愛い。じわじわと胸が暖かくなる。
どういった心境の変化なのか分からないけど、距離を置くと引っ付いてくるのは、まるで猫のようだ。
暫く無言で見つめあったまま、何時までそうしていれば良いのか、『そろそろ手を離してもらえないでしょうか』と窺い見れば。
は、と息を吐いた百ちゃんがじとりと見下ろしてきて困惑する。
身長差もあって無意識に上目遣いになっていたらしく、『誘ってんのか?』と百ちゃんはそこで漸く口を開いた。
そんなつもりは微塵もなくて。気を悪くしたなら申し訳ないなと思い、へにゃりと眉尻を下げて謝るけれど、百ちゃんは解放するつもりはないらしい。
腕を引っ張ってもビクともしない。え、困る…。
多分、只の気紛れだと思う。目の前の女が自分と同姓同名で同じ容姿をした男と付き合っていると言われ、俄には信じ難いが興味が湧いたのかもしれない。それともちょっと遊んでやろうとでも思ったのか。
「おい、耳まで真っ赤だぞ」
「っ、ちょっと近すぎ……」
百ちゃんが耳元で囁いてくる。一気に近くなった距離。ふわりと、微かな汗と体臭と硝煙の香りが鼻腔を擽った。それは嫌な匂いではなくて。
腕を掴まれたままだから距離を取ることが出来ない。元の世界の百ちゃんではないのに、拒むことが出来なかった。そんな私を目の前の百ちゃんは嘲笑うのだ。
何とでも言うがいい。私は百ちゃんが好きなのだ。例え、この世界の百ちゃんが百ちゃんじゃなかったとしても、嫌いになどなれない。
「ははぁ、他の男にも媚びを売るなんざとんだ阿婆擦れですなぁ」
「ぐぅ…」
悔しいが否定できない。私を知らないだけで、百ちゃんと何ら変わりないと思ってしまう。言い返すことが出来ず唸り声を出すと、百ちゃんはにたりと悪どい笑みを浮かべた。そんな表情にすら、私はぎゅっと心臓が締め付けられてしまうのだった。
きっと私を揶揄って反応を見て蔑みたいのだろう。警戒しなければならないのに、私は百ちゃんに対して警戒心がすっぽりと抜けていた。
百ちゃんの顔が目の前にあって、睫毛長いなあと思ったのも束の間、かぷりと唇を食むように口付けられた。
ひく、と私の喉が鳴る。百ちゃんは顎で私の口を強引に開けると舌を捩じ込んできた。
「ふぅ、ぅ…ん」
歯列をなぞり、上顎を舐られ吐息が漏れた。百ちゃんは初めから私の弱い部分を知っているかのように巧みに舌を蠢かす。
百ちゃんって上手いんだなぁ、と頭の片隅で思う。
くちくちと水音を態とらしく出し、逃げ惑う私の舌を難なく絡め取る。ちぅ、と舌を吸い上げられ、思わず百ちゃんに縋りついてしまった。きゅっと外套を掴むと百ちゃんの瞳がきゅっと細くなる。私はされるがままで、それに気付けない。
掴まれていた腕は、いつの間にか解放されていた。それでも私は百ちゃんを突き飛ばすこともせず、いつもの百ちゃんだと錯覚してしまった脳はもっとと甘い痺れを求めているようだった。
百ちゃんも、只ちょっかいを出しただけのようだったけど、思ったよりも口付けが悪いものでもないと思ったのか、私の手首から離した手を私の後頭部に回して更に引き寄せた。
早朝からするものでもない、濃厚な口付けをしている私達は、否、私はどうかしている。倫理観?そんなもの大好きな百ちゃんと同じ人物がいたら吹っ飛んでしまう。他の人には絶対にしない。百ちゃんだからこうなるのだ。
お前の貞操観念や危機感どうなってるんだって?全夢女子よ、大好きな人がいて拒めるか?拒めるならその方法を教えてくれ。
しっかり教えこまれた私の身体は、例えこの世界の百ちゃんだろうと拒むことは出来ない。
阿婆擦れでも何でも言うが良い。その通りなのだから。
一頻り口内を嬲られ、何も考えられなくなった私は、思わず百ちゃんの舌を甘噛みしてしまった。百ちゃんはぴく、と微かに肩を跳ねさせると唇を離した。チッと舌打ちされるけど、ぽやんとした頭ではそれを何処か遠くの方で聞いているような感覚だった。
「…お前、売女みたいじゃねぇか」
「うぅ…百ちゃん好みに仕込まれたから」
「ははぁ、さぞあっちの具合も良いんだろうなぁ」
「最低」
「淫乱女が」
比べたことがないから分からないけど、百ちゃんはさぞ経験豊富なのだろう。腰が抜けて立っているのも限界で、力なく百ちゃんに撓垂れ掛かる。こつんと百ちゃんの肩に額を擦り付けると、ごにょごにょと小声で好きでこんな身体になった訳ではない、と言い訳する。ついでにすんすんと百ちゃんの匂いを嗅ぐと、怒られた。
この後朝食の時間になっても戻って来ない私達を杉元君が探しに来て、ひと騒動あったのは言うまでもない。
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《後書きという名の言い訳》
尾形さんに罵られると耐えれない。私が(⚲□⚲)
いや、ドSなのは大好物なんですよ?でもそこに愛がなくて虐めるだけなのはちょっと泣きそう……。あくまで私の主観ですが。
尾形さんには幸せになって欲しいので、主が心の拠り所になってくれればなぁという妄想から、書きました。ずっと平行線なのも、私の中では考えてなかったので。
好き嫌い別れるかと思いますが、誰か一人にでもささればいいなぁと思います(*^^*)