この声が届く、その日まで
主は内心では杉元君呼び→本人にはさん呼びです。
白石の呼び方を迷う……取り敢えずさん呼びかなぁ
▽交合ってから二人の関係が徐々に変わっていく話▽
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百ちゃんとセックスをしてからというものの、やたらと構われるようになった。変な女から傍に置いていても支障のない女へと格上げである。
私が杉元君の方へ行こうとすると首根っこを掴まれて(いや、犬猫か?)『お前はこっちに来い』と獲物を狙いに連れ出される。そしてやたらと距離が近い。
うーん。懐かれたと思ったら良いのだろうか。恋人では無い恋人と同じ容姿をした男の立ち位置を、私の中でどの位置付けにすれば良いのか分からない。
分かることと言えば、現世の幸福を得て穏やかな(とんでもない事も言うけど)百ちゃんと違い、時折思い詰めている様子の幸薄い百ちゃんを放っておけないという事だ。
すっかり絆されていると思う。よしよしと無意識のうちに百ちゃんの頭を撫でてしまい、それ以来撫でろと目で訴えられるのだった。
旅順では百ちゃんを撫でる私と大人しく撫でられている百ちゃんの姿を度々見られ、アシㇼパちゃんには仲が良いな!と微笑ましそうに頷かれ、白石さんには2人ってもしかして……ぴゅう♡と両指を指され、杉元君には無理強いさせんじゃねぇとがるがる牙を剝かれる(主に百ちゃんが)
人をあしらうのが得意な百ちゃんは、『おいおい、なまえが
でも私は見てしまった。そもそも恋人にしていることをしたいなんて一言も言ってないし、俯く百ちゃんがにんまりと口端を弧状に吊り上げているのを。
百ちゃんの態とらしい煽りを煽られているとも気付かず、しゅんとしてアシㇼパちゃんの隣に戻っていく杉元君を見遣り、百ちゃんって悪い男だなぁとこつんと肘で脇腹を突く。
百ちゃんは微かにぴく、と肩を跳ねさせるけど、ははぁと吐息で笑って前髪を掻きあげた。
「……杉元さんって純粋なんだなぁ」
「……」
乙男だし、擦れてなさそうな杉元君はザ·ピュアな純愛が好きそうだ。
思わずぽつりと呟くと、百ちゃんにしっかり聞こえていたようで、一瞬瞳孔を細めたものの直ぐににんまりと気持ちの悪い笑みを浮かべた。うわ、怖って言うと頭を叩かれた。
「阿婆擦れななまえには純愛なんて程遠いですなぁ」
「そんな阿婆擦れにお熱なのは百ちゃんですよねー」
「……」
「……」
私だってそれなりに経験はあるのだ(主に令和の百ちゃんと)。言い負かされないように言い返すと、百ちゃんは黙り込んでしまった。え、否定しないの?
思わずまじまじと百ちゃんを見る。百ちゃんは私に対する感情が何なのか考えているようだった。
なまえに対する感情を、好きとかそう言った簡単なもので表すことが出来ない。嫌いではないのだろう。
手を伸ばそうとすれば、真っ黒な渦がそれを拒むように現れ、まるで地獄へと突き落とされるかのような錯覚がする。
きっと俺では駄目なのだろう……。
百ちゃんを渦巻く負の感情が百ちゃんを取り込んでしまわないようにと切に願う。
私に出来ることは只傍にいることしか出来ない。例えその手を振り解かれようとも、手を差し伸べることを止めるつもりはない。
今の百ちゃんは前世の百ちゃんと一緒だ。だとすれば……。
私は百ちゃんの前に向かい合うように座り直すと、わしゃわしゃと犬を愛でるように、百ちゃんの頭を両手で撫で回した。弾かれたように百ちゃんが顔を上げた。
吃驚したのかきゅっと瞳孔が細くなっている。それでも、『おい、やめろ』と眉間に皺を寄せ顔を逸らそうとする。
だから私は身を乗り出して、百ちゃんの両頬を包むように触れ、猫の髭のような傷跡を指の腹で撫でた。
すりすり撫でて顔を近付けると百ちゃんが息を呑んだ。
「…大丈夫。何があっても百ちゃんの傍にいるから」
「……」
こつん、と額を合わせて言えば、百ちゃんの瞳が揺れた気がした。『私が百ちゃんを幸せにする』だから一人でいかないで。そう告げれば、は、と百ちゃんが小さく吐息を漏らした。
いつの間にか杉元君達の姿は見えなくて、今ここにいるのは私と百ちゃんだけだった。
百ちゃんが嫌がらないのを良いことに、頬から手を離してそっと抱き締める。百ちゃんは顔の角度を変えると唇を重ねた。
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《後書きという名の言い訳》
次回、書ければ書きたい話……主が自分に向ける感情は令和の尾形さんにだろうと嫉妬する尾形さん。それが嫉妬だと気付いていない。突き放そうと思うけど、結局尾形さんも主に絆されてて離れられないし、何なら自分の方に引き込めばいいのでは?俺のものにしてやる、みたいな感じになると思われる。
主は尾形さんに対しては寛大なので、どんな百ちゃんも受け止めます!みたいな感じでいる。前世の百ちゃんだと思ってるので。
前世と別軸の百ちゃんだけど、令和の百ちゃんが夢かなんかで覚えてて、『お前……♡(いつの時代も健気さがたまらんなぁ)』みたいな感じになってるの良きだなーと思ってるのでそんな感じに持って行けたらと思ってるけど予定は未定。主が尾形さんに言った言葉がしっくり来てないので修正出来たらするかもしれない…。どんな言葉なら尾形さんに響くのか分からない(¯―¯٥)
キャラ崩壊大だわ。お付き合いくださる方はよろしくお願いします。甘々百ちゃん大好きなので自己責任でよろしくお願いします〜。
今回は中島美嘉の《Wish》を選曲して書き上げました(⁎⁍̴̛ᴗ⁍̴̛⁎)