正当なる束縛
▼土方陣営との接触if▼
※時系列がめちゃくちゃの上、誰にも配慮してません。
めちゃくちゃ捏造してます…
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非常にまずいことになった。
私は例え百ちゃんに怒られようとも、甘えたくなくて自分でお金を稼ごうと自分勝手な行動をとってしまったことを今更になって後悔した。
今の私は、猫に睨まれた鼠状態である。
事の発端は、私が街まで一人で来てしまったことにある。黙って来た訳ではなく、アシㇼパちゃんには伝えていたのだけれど、一番肝心な人に伝えていなかったのだ。
「……で?どういうことか説明してもらおうか」
「弁明しても宜しいでしょうか」
「ふん、仕方ねぇから聞いてやる。が、答え次第では殺す」
「ぅぐ。ありがとうございます、百之助様」
︙
私は突然与えられた情報に目眩と頭痛がして、土方さんに介抱されていた。これは不可抗力である。断じて疚しい気持ちは無い。良い匂いだな、と思ったくらいで。
土方さんに背中を撫でられて少しマシになったけれど、顔色の悪さまでは治まらなかった。
私は帰ることを主張したのだけれど、こんな状態で女子を一人で帰す訳にも行くまいと、土方さんの好意で泊めてもらうことになってしまった。
『なまえ、年寄りの助言は聞いておくものだ』と、出会って間もないのに、説得力のある物言いは、流石新撰組副長だっただけはある。今でもカリスマ性がある土方さんは、人を惹きつける魅力を持っている。
敵かもしれないよく知らない女を、突き放すでもなく受け入れる懐の深さに、只只感嘆を漏らすばかりである。
戸を叩く音がして、私以外の人間が警戒を示す。永倉さんが対応しに行くと、百ちゃんが永倉さんを押して割り込むようにして部屋に入って来た。
血相を変えた表情の百ちゃんは必死に捜してくれたのか、前髪が崩れていた。私が視界に入ると安堵し足早に近寄って来たのも束の間、冒頭の通り、鬼の形相をして私を土方さんから引き剥がし腕の中へと私を抱え込んだ。
明らかな嫉妬とも取れる行動に、土方さんは青臭いなとでも思っているのか、ふっと吐息混じりに笑うだけだった。
ドスの効いた低い声で、ずももも…と黒いオーラを纏った百ちゃんに事の経緯を説明するよう言われ、おまけに物騒な事を言われてしまい、ぴぇっと情けない声を出して肩を跳ねさせた。
ははぁ、とお代官様に平伏すように大袈裟に様付けで呼べば、阿呆かとジト目で見ながらも本当はそう呼ばれることが嫌ではないのではないだろうかと思える。
「旅費を稼ごうかと思いまして……」
「はあぁぁ……俺はお前一人養ってやる甲斐性もないと思われてたのか」
「そ、ういう訳じゃないけど」
「けど?」
「百ちゃんに甘えてばかりも申し訳ないと思って」
百ちゃんは盛大な溜息を吐いて額を押さえた。全く酷い奴だぜ…とでも言いたげに傷付いたフリをしている。
ごにょごにょ言い訳をする私に『それで?』と目で促され、『私だって百ちゃんを支えたいの』とくそデカボイスで言えば吃驚した百ちゃんの瞳孔が細くなり、きゅっと口を真一文字に結んだ。
「口を挟むつもりはないが、先程まで体調を崩されていてな、まだ本調子ではないだろう」
「……そうなのか?」
「…ちょっと頭が痛くて。もう大丈夫だよ」
「そんな調子で帰すのも心配だ。2階の奥の部屋が空いているから泊まると良い」
「ああ、尾形と言ったな。呉々も無理強いするなよ?」
「ははぁ、余計なお世話ですよ」
『だが、なまえが世話になったのには礼を言うぜ』と土方さんとのやり取りがあったことを私は知らない。
こうなることを、土方さんは年の功というやつで分かっていたのではないだろうか。
二人でゆっくり話し合う事も必要だろう、とその《ゆっくり》話し合う事に性的な意味も含まれているとは私が気付く筈もなく、聡い百ちゃんはその意味合いにも気付いているだろう。と言うか、嫉妬した百ちゃんが手を出さないとは考えられず、土方さんはそう言ったのだと思う。
百ちゃんに手を引かれるままに空き部屋へと移動した。
移動したのは良いけれど、部屋に入るなり百ちゃんは黙り込んでしまって居心地が悪い。
「……百ちゃん、怒ってるよね?」
「……肝が冷えた」
「ごめんなさい」
向かい合って座り、目を伏せている百ちゃんの様子を窺う。百ちゃんは、ぽつりと呟きゆっくりと視線を此方に移した。怒りと言うよりも、不安の方が大きかったのかもしれない。揺れ動く瞳を見れば、自分が馬鹿なことをしてしまったのだと改めて思う。
「勝手に居なくなるな」
「うん、ごめんね」
「次は無いぞ」
「はぁい」
膝で歩いて百ちゃんに近付くと、怖ず怖ずと百ちゃんに抱き着いた。百ちゃんは私の腰に腕を回すとぎゅっと抱き締め返し、私の胸に顔を埋めた。すーはーと大きく深呼吸する百ちゃんの頭を撫でる。
余談ではあるが、土方さんが私を介抱してくれている時に微かに硝煙の匂いがしたらしく、間者の可能性もあると考えたそうだ。でも私が銃の扱いに長けているとは思えず、後に現れた百ちゃんを見て、百ちゃんの残り香だと瞬時に理解した土方さんは、成程なと納得した。
仄かな硝煙の匂いと私以外の匂いがして、私と百ちゃんが恋仲だと思ったそうだ。
銃の扱いに不慣れだと思われているが、令和の世界で百ちゃんにクレー射撃やサバゲーに連れられていることもあり、多少は使えるのだけれど、それはまた話す機会があれば、神の気紛れによってその場が設けられるだろう。
「……それにしても、何でここにいる?」
「えっと……斯く斯く然然で……」
「ああ"?」
男に絡まれているところを助けてもらったと言えば、百ちゃんのこめかみに青筋が立った。
この時代では人探しも一苦労である。私を見つけ出すのに時間と労力を使った上、漸く見つけ出す事が出来たと思えば、よく分からない男と一緒にいるし、おまけにナンパされていたと聞かされれば、百ちゃんが怒るのも無理は無い。
「いや、でもほら。私何かが声掛けられるなんてね」
「……お前、自覚がないのか」
「え?」
「……縄で縛り付けておかねばならんか?」
私みたいなのが口説かれる訳ないじゃない?と言えば、百ちゃんが呆れたような表情を浮かべる。私がきょとんと首を傾げると百ちゃんが盛大な舌打ちをした。男共が放っておかない見目をしていると百ちゃんが言ったけど、それは恋人の欲目からではないか。
物騒な言葉が聞こえたのはこの際聞かなかった事にする。
「まぁでも、百ちゃん以外興味無いから安心して?」
「……犯す」
「え、何で?!」
私が好きなのは今もこれからも百ちゃんだけだから、と言えばトスと百ちゃんの胸に刺さったらしい。
どうやら私はいけないスイッチを押してしまったようだ。
目の前のギラつく瞳を見てしまって、猫に睨まれた鼠じゃなくて、虎じゃないか。ひぇー。
もしも需要があるならば、甘々イチャラブ?えっちが見れたり見れなかったりするらしい。終われ。