おやすみ、次の春まで
大手IT企業エリートサラリーマン尾形(記憶有)と主(記憶無)
《注意事項》
*金カム初心者の見切り発車
*原作尾形の死にメンタルやられ、何とか主とイチャコラさせれないかと妄想故の現パロ
* 原作沿いではないご都合主義
*キャラ名借りた雰囲気小説
*捏造多い
*なんでも許せる人向けです。
*好き勝手に書き散らしているので合わない人はブラウザ閉じて下さい。
誰か1人にでもさされば嬉しいなと思って頑張って書きました( ˶°⌓°˶)
何が何でも救済したかったのと死ぬなら一緒に、だった。主ちゃんが間に合って銃口の照準変えたから尾形さんには当たっていないってことに。
再度言いますがご都合何でもありの方向けです。それでも宜しければお進み下さい。
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明治時代、
己に向けて無邪気に笑うなまえを見ていると何処か苛立ちを感じた。その顔を歪ませて見たいとさえ思った尾形は、手酷くしようと考えていた。
いくら冷たく突き放してもなまえの態度が変わることはない。"痛めつけて犯してやればもう関わってくることもないのではないか?"そう思いなまえに手を伸ばした尾形。だが、なまえは有ろう事か尾形を抱き締めたのだ。びくり、と尾形の身体が跳ねる。
『何故だ…』そう口にしたが声にはならず、はくはくと金魚のように開閉するだけで。困惑する尾形を他所になまえはへにゃりと眉尻を下げて困ったような笑みを浮かべ『好きだから』だと告げた。
そうは言われるものの、愛だの恋だのと言った感情とは無縁の尾形が信じられるはずもない。なまえからの好意に悪い気はしないが、素直に受け入れることも認める事も出来ず、その背中に腕を回して抱き締め返してやる事もない。
なまえを見るときゅっと胸が締め付けられるこの感情は何なのか。
そしてなまえの言う愛が何なのか理解に苦しむ尾形。やはり突き放したいのに何故かそれが出来ない。
次第になまえと過ごす日々が、執着というものへと変わる。尾形が罪悪感を理解した時、それと同時に漸く愛が何たるかを理解出来た気がした。だが、時既に遅く、それが分かったのは己の死を間際にした時であった。
ずっと、なまえに対する感情を認めるのが怖かったのだ。認めて受け入れてしまえば、いつか離れていかれるのではないか?独りになるくらいなら、それならばやはり殺してしまうか?その無限ループである。
《愛してるって伝える他に、何が出来るの》
歌詞の一節がなまえの脳裏を過ぎった。私達に残された時間はもうないのだろう。未来を約束した間柄でもない。只、傍にいられるだけで良かった。
震える尾形を――実際には震えてはいないが――ぎゅっと抱き締めてあげたいと思った。尾形が信じられないと言うのなら、信じてもらえるまで何度でも言い続けるし、手を差し伸べたいと思う。その手を掴んで離さない。執着しておいて今更手放すなど許せるものか。
もしも死にたいと言うのなら、どこまでも着いていくつもりである……。たった1人で死なせる事はしない。
貴方に出会えたことは、奇跡なんだと思った――
白石と一緒に隠れていたなまえは、白石が止めるのを振り切り、縺れる脚を叱咤して駆け出した。死体の山を跨いで、向かう先は尾形の所である。
無我夢中で、怖さなど感じている暇もなかった。なまえが向かったところで、結果が変わるとも思えない。それでも……。
列車の上を全速力で走るなんて、ハリウッド映画くらいのものだろう。火事場の馬鹿力という言葉があるくらいだし、女だってやれば出来るのだ。
風に煽られながら、必死に歩を進める。悲痛な声で尾形を呼ぶ、その声にアシㇼパと杉元が目を瞠る。
毒に侵された尾形は錯乱状態だった。異母弟である亡霊に惑わされているようだ。お願いだから、彼を連れて行かないで……
間に合え、間に合えと尾形に手を伸ばす。呼吸すらままならなかった。それでも良かった。
銃口を自身に向けている尾形の身体を押して、無理矢理間に入る。衝撃で外套が外れ飛ばされた。
そこで漸く虚ろな瞳がなまえを捉えて目が見開かれていく。持っていた銃は尾形の手から離れており、ガツン、と金属音がして転がった。
頽れるなまえを抱き留め、その場にしゃがみ込む。じわりと布が赤に塗りつぶされていく。どろっとした感触に尾形が己の手を見る。
『っ、何故だ……』と口の中が酷く乾いて、声にならなかった。そう言ったのはこれで2度目だった。
「……独りにしないって…言いましたよね」
「はっ、そんなこと……」
戯言だろう。と言おうとした言葉は喉につっかえて出てこなかった。
『ははぁ、それならお前が俺の為に死ぬって言うなら信じてやらんことも無いがな。……まぁ、無理だろうよ』
あの時、なまえに好きだと告げられた時に尾形はそう言ったのだ。なまえはそれ以上何も言わず、只儚げに微笑むだけだった。だから、いくら好きな相手だと言え命を絶つなどと馬鹿げた事は出来ない筈なのだ。
確かに、独りにしないとも言われたな、と思い返す。
「尾形さんのこと…あいしてます……誰よりも……」
「っ、ああ、お前は馬鹿だよ……なまえ」
「ふ、お互い様、ですよ……」
なまえは尾形の頬に触れて拙い《愛してる》を告げた。ほろり、と尾形の瞳から涙が零れ落ちた。
なまえが怖ず怖ずと唇をそっと重ねると、尾形は今度こそ受け入れた。にへら、と照れ臭そうに笑うなまえに、尾形は胸が締め付けられ、『ああ、クソっ』と舌打ちする。
なまえを掻き抱くと、耳元で《愛してる》と飛び切り甘い声音で囁いた。なまえは嬉しい、と涙を流した。
尾形は最後の力を振り絞り、なまえを抱き上げ列車から離脱した。
なまえを膝に乗せて木に背中を預けて座り込む。ああ、酷く疲れたなと思う。
「……尾形さん……桜が咲いたら…見に行きましょう」
「……」
突拍子もない事を言うものだなと思いながら、頷く。
《来年も、ずっと。……来世も一緒にいたいです……》
《なんだか眠くなってきました……》
《おやすみなさい》
尾形は震える声で『ああ、』と答えることしか出来なかった。ぎゅっと抱き締め、なまえの匂いを肺一杯に吸い込み、目を閉じた。
*☼*―――――*☼*―――――
夢の中で、誰かが呼んでいる声が聞こえる。その声の主が誰なのかは分からない。けれども、何処か懐かしい様な、それであって酷く切なく儚いもので。何とも言い表すことの出来ない私は、また今日も涙を流すのだ。
ふっ、と意識が浮上する。夢を見ていた。
度々見る夢は、誰のものだろう。忘れてはいけない気がしたけれど、思い出すことが出来ない。
映画やドラマの見すぎかな?と不思議な夢に特に気にすることなく、今日も仕事に向かうべく軽く伸びをして準備をする。
今日も何の変哲もない一日が始まろうとしていた。
何の変哲もない日々が、変わろうとしていることを、この時はまだ知る由もなかった――。