君と会える奇跡

遠くで、懐かしい声がする。

「…ろ、皙!!!」
「うえ?! お、お母さん……?」
「もう…休みの日だからっていつまで寝てるの?早く起きなさい!」
「な、なんでお母さんが居るの……?」
「……何馬鹿みたいなこと言ってるの?私はずっと家にいるじゃない。」
「そうだけど…そうじゃなくて……」

頭の中をぐるぐると思考が回る
考えがまとまるより先に、目から自然と涙がこばれた。
涙でぼやける視界に、驚いた母の顔が映る。

「どうしたの?怖い夢でも見た?」
「おか、お母さん……」
「よかった、ずっと会い、たかった……!」
「よしよし……大丈夫よ。変な子ねぇ様毎日会ってるのに…笑」

お母さんはあたしが泣き止むまでずっと背中をさすってくれた。
泣き止むと気持ちが落ち着き、少し冷静に状況を考えられるようになった。

「(ここ…元々私がいた世界だ…)」

あたしが目覚めたのは今となっては懐かしさすら感じる自分の部屋だった。

「(どうして…突然ここに?)」

昨日の記憶が上手く思い出せない、けど、普通の一日を過ごしたはずだ。
学園長から帰る方法を聞かされたわけでも、何か特別なことをした覚えもない。




ツイステッドワンダーランドはどこへ行ってしまったの?



「(みんな……どうしてるんだろう…)」

大切な人たちの顔が脳裏をよぎった。
だが、それとは別の感情も湧いた。

「(でも…これはこれで良かったんじゃ…)」

あたしは元々自分の世界に帰る方法を見つけようとしていたはずだ。
お別れも言えずに元の世界に帰ってしまったのは寂しいし、心配だけれど…
きっとみんなも変わらず元気に過ごしていると思う。

「皙〜!ご飯できたから食べちゃって〜!」
「あ、はーい!」

考えがある程度まとまったところで母親に呼ばれた。

「(お母さんの手料理、久しぶりだなぁ……)」

わくわくする気持ちを胸に、食卓へと向かった。




数時間後…

「(…家ってすごい!)」

虫はいないし雨漏りもしない。
当たり前と言ったら確かにそうなのだが、しばらくオンボロ寮で生活していた身からすると大変快適な環境だ。
休みということもあり、しばらくごろごろしていると母親にお使いを頼まれた。

「材料を買い忘れてたの。これお願いね。」
「うん、分かった。」
「行ってきまーす!」
「気をつけてね〜」

近所のスーパーまでは歩いてわずか10分あまりで着く。

「(えーと……みりんに、ねぎ…)」
「あ、そうだ。ツナ缶も買わないとグリムに怒られちゃ、う…」


「(……違う。)」



もう、いらないんだ。



その瞬間、今まで感情を抑えていた糸がぷつんと切れたような気がした。

「(もう、ここにグリムはいない。)」

グリムだけじゃない。
エースにデュース、りた、それに…

「マレウスも……」

みんなの姿や声が鮮明に蘇る。

『監督生!何ボーッとしてんだよ?w』
「エース…」

『監督生、ここの問題なんだが……』
「デュース…」

『ふなぁ〜!ツナ缶くれなんだゾ!』
「グリム…」

『皙〜!お泊まりしょ!』
「りた……」



『...人の子。』

「マレ、ウス……!」





「(みんなに、会いたい…!)」


そう強く願った時、辺りが光に包まれた。

「な、なにこれ?!」

そこで、あたしの意識は途切れた。





「…ろ、皙!」

また、誰かに呼ばれている。

「ん…」

目を覚ますと、そこには大好きな友人たちの姿があった。

「皙!!」
「り、た…?」
「ふなぁ…!ようやく起きたんだゾ…!」
「グリムも…」
「……二人とも、なんで泣いてるの?」
「なっ、泣いてなんかないんだゾ〜!!」
「すごい泣いてるよ?」
「だ、だって……」
「皙が三日も起きないから!」
「…ええ!?」
「み、三日?あたし三日も寝てたの?」
「…そうだ。」
「え、マレウス?いつからそこに……」
「つい先程からだ。…それで、人の子。気分はどうだ?」
「え、えーっと…至って普通かな?」
「そうか…それならいい。」
「皙ってばほんとに危なかったんだよ?錬金術の授業中に魔法薬二種類被っちゃって、そのまま意識が無くなっちゃうし……」
「混ざりあったことで魔法薬が変化してしまったようでな…解除する薬もなかったそうだ。」
「そうなんだ……。」
「ほんとに良かった……あ、そうそう。もうすぐしたら来ると思うよ!」
「え?何g」
「「監督生が目覚めたって?!」」
「え、エース!!それにデュースも!」
「無事に目覚めたんだな…!良かった…」
「ったく…心配させんなよな……!」
「二人ともごめんね……」
「それに……」
「グリムにりた、マレウスも…ほんとにありがとう……」
「会えてほんとに嬉し、い……」

また、自然と涙がこぼれた。

「人の子…?」
「皙?! やっぱりどっか痛いの?!」
「ううん!!!違う、違うの……」
「……みんな。」



大好きだよ!