ハロウィン

今日はハロウィン。
ハロウィンを祝うため各寮が盛大な飾り付けを行った。そのため、学園は普段とは違う雰囲気になっていた。
オンボロ寮も例に帰れず、ハロウィンの装飾がされていた。
マントを羽織って少しおめかしをしたグリムがツンツンと前足で足をつつく。

「子分〜、トリックオアトリート!なんだゾ〜!」
「グリムそのマント似合うね、かわいい〜」
「ニャハハ!オレ様はなんでも似合っちまうからな!それより菓子!菓子くれ!」
「はいはい、ちゃんと用意してるよ〜?はい、クッキー」

そう言ってグリムにジャック・オ・ランタンの形のクッキーを渡す。
グリムは「ニャハハ」と嬉しそうな声を出しながらラッピングを外し、クッキーを頬張る。

「ん〜〜〜!!うめーんだゾ!」

しっぽを左右に大きく振りながら両足で頬を挟む。そのグリムの姿に思わず口角が上がる。
未だにもぐもぐとクッキーを頬張り続けるグリムの背中をゆるりと撫でているとピンポンとチャイムが鳴った。

「はーい、今出まーす!」

そう言い、玄関に向かう。
ドアを開けると、エースとデュースがいた。

「トリックオアトリートだ、監督生」
「そーそー!オレとデュースに菓子ちょーだい?なかったらイタズラするだけだけど」

そう言ってエースは手を差し出した。

「2人は絶対来ると思ってたからちゃんとお菓子用意してたよ」

そう少し笑って「はい、クッキー」と言って2人に渡す。

「ありがとな」
「ちぇ、抜けてるとこあるからイタズラできるかも〜とか思った。でもありがと」

2人と少し話をして「んじゃ、オレら帰るわ〜」と言って帰る2人を見送ると、まるで2人が帰るときを見計らったかのように緑色の光が庭に増えていく。
あ、これは…と誰が来たのかがすぐにわかった。

「やっぱりツノ太郎だ!」
「ん…?ああ、ヒトの子か」
「どうしたの?」
「今日はハロウィンだからな。トリックオアトリート、というやつだ」
「ツノ太郎もそういうことするんだね」

知らないと思ってた、と少し笑うと少しムッとした表情を見せた。

「僕だって少しくらいは知っている。それで僕に菓子は用意していないのか?」

そう言われ「お」と思わず声が出た。
少し豪華なお菓子を用意しようと思ってはいた。が、オンボロ寮の装飾に熱を入れすぎるがあまりすっかり作ることを忘れていた。
そのことを思い出しあわわわ、と行き場のない手をバタバタと動かす。

「ご、ご、ご、ごめん!ツノ太郎!用意しようと思ってたんだけど忘れちゃってた……」

そう返すと目を見開き、少しむっとした表情をする。

「ならば仕方ない、イタズラをするしかないな」

そう言うとマレウスは頬に手を伸ばす。その手はゆっくりと頬をなぞりながら進み、頭にかかると軽く上に上げられる。
なにが起こっているのかわからずにいると、唇に柔らかい感触がする。
唇から離れていく感覚と綺麗な顔が自分から離れていくことでようやく自分がキスをされていることを理解して熱が顔に集中していくのがわかる。

「え、え……?」
「ふ、顔が真っ赤だぞ?」
「ツ、ツノ太郎のせい、だよ……」
「そう言われるのは気分が良いな。だがヒトの子よ、毎回そう紅くなるな」
「紅くならないなんて無理だけど!?」

マレウスはふ、と笑うと今度は手を取り、手の甲に軽くキスを落とす。

「今後も僕でいっぱいになればいいさ、My dear」

そう言って緑の光に掴まれてマレウスは去っていった。
しかし、顔の熱はまだ引きそうにない。