君と見る雪の色は

「あたしのいた世界では、雪の降るクリスマスのことをホワイトクリスマスって言ってたんだよ」

雪が降り積もる様子を窓から眺めていると、ふいにそんな言葉が口をついてでた。

「ほう、それは聞いたことがない言葉だな。人の子よ、ホワイトクリスマスとは珍しいものなのか?」
「そうだね、あたしの住んでるところでは珍しかったな」

ロシアとかに住んでいたら話は違っていたのかも知れないけど、あたしのいた日本は雪はそこまでたくさん降るような国ではなかった。ベランダに出ようと言って貴方と2人外に出た後、ツイステッドワンダーランドの冬はどんな感じなの、と尋ねると貴方は少し思案してそれからいつものゆったりとした口調で話し始める。

「この世界では毎冬雪が降る。人の子の名と同じ美しい白の雪が毎年かなりの高さ積もっているな」

確かにまだ12月の前半だというのに、ふわふわとまるでかき氷みたいな雪が空から途切れることなく降り注いでいる。

「あたしは白だから雪と同じだけれど、マレウスみたいな緑や黒の雪もあったらいいのになぁ」

そんな色の雪が降ったらきっとすごく幻想的だと思いながら雪を見つめていると、貴方は少し楽しそうに笑みを浮かべてぱちりと指を鳴らした。

「雪の色を変えるくらい僕には造作もないことだ。
どうだ、人の子よ。美しいか?」

舞う雪の一部が透き通るようなグリーンとグレーに近い黒に変化していた。それはまるで空から無数の宝石が落ちてきているようで、あまりの美しさにあたしはただ圧倒され、目の前の景色に魅入られる。

「うん、すごく綺麗.....まるで物語の中のお姫さまになっちゃったみたいな気分になるよ」

3色の雪が並んで空を見上げるあたしたちの肩に降り積もってはすっと音もなく溶けていく。

「いずれは茨の谷の王女になるのだから、そういった経験も今後のために良いだろう」
「べ、別にそういうことじゃなくて…」

寒いはずなのに頬が熱くてちらっと睨むと貴方はいつもと同じように満足げな光を目に浮かべてこちらを優しく見つめ返してくる。

「クリスマス、楽しみだね」
「クリスマスホリデーの間はうちに来るといい。まだ
茨の谷での伝統的なクリスマスパーティーに招待しよう」

それから貴方は、貴方の国のクリスマスの過ごし方をひとつずつ丁寧に話してくれた。あたしに話をしてくれるときの表情はとても幸せそうで、見ているだけであたしまで幸せな気持ちになってくる。

「そろそろ冷え込む、中に入ろう」

促されて、あたしは頷く。

「うう、寒いなぁ」

マレウスが出してくれた小さな灸に手をかざして、ほんのりとした温もりを感じていると、貴方がいきなりあたしの手をぎゅっと握りしめた。触れたところから貴方の体温が伝わり、あたしは少し恥ずかしい気分になる。

「こうすると暖かい」

手を取り合って目を閉じる。
いつかのホワイトクリスマスを夢見て。