幸せニューイヤー!

「マレウス、明けましておめでとう!!」

月日が流れるのは早いもので、ついに2021年が終わり
2022年が始まった。テンション高く新年の挨拶をするあたしを見て貴方は楽しそうに目を細める。

「あぁ、明けましておめでとう。人の子よ」

ぽんぽん、と頭を撫でられてあたしはゆでたこみたいに頬が赤くなってゆくのを感じた。

「いい雰囲気のとこ悪いけど、レオナさんが珍しくアンタの頼みだって言って作ってたんで「年越し蕎麦』、
持ってきたっスよ、皙さん」

ふと声がして振り返るとラギー先輩が紙袋をぶら下げて立っていた。
年越し蕎麦、というワードを聞いてあたしのテンションは最高潮にのぼりつめる。やっぱり年越しといえばこれだよね。これがなくっちゃやってられない。

「年越し蕎麦、というのは何だ?」

首を傾げるマレウスに私は紙袋の中身を覗き込みながら早口で答えた。

「あたしのいた世界ではね、年越しにみんなで蕎麦を食べるの。お蕎麦、すごく美味しいよ」

袋から取り出した器をひとつ手渡すと貴方は少しだけ不満そうな顔をしつつそれを受け取った。

「「いただきます」」

熱々の出汁に入った蕎麦を啜る。あたしが伝えた通り蕎麦には刻みネギとかき揚げがのっていで、年に一度しか楽しめないこの味に思わずにこにこと笑みが溢れた。
マレウスの方を見ると何故か少し顔をしかめていで、それから彼はこちらを見ると真剣な顔で口を開いた。

「来年は僕が蕎麦を作ろう。茨の谷の特産品も使った特別なものだ。リリアには勿論その日は用事を頼む」

その様子があまりに必死で、あたしは首を傾げ尋ねた。

「どうしたの。蕎麦、美味しくなかった?」
「味は悪くないがレオナが作ったというのがな。野菜が均等に切られていないのが気になる」

それにお前の為に作ったと言うのも癪に触る、と小さく付け足した言葉があたしの耳に入ることはなかった。

「じゃあ来年は一緒に作りたいなぁ」

そう呟くと貴方の目が嬉しそうに煌めく。

「それはいいな。ちょうど良い機会だから茨の谷にまた招待しよう。連れて行きたい場所がある」

2021年、いろいろなことがあった。あたしとマレウスが出会って、惹かれてさまざまな行事を一緒に経験して笑って時に泣いて、日々が過ぎていった。

「人の子よ、愛している」
「あたしも、マレウスのことすきだよ」

巡り合い、惹かれ合う。
たとえここがあたしのいるべき世界ではなくでも、貴方と出会えたこと、それがすごく幸せで、あたしはこの世界にきてよかったと思える。

「ありがとう、ツノ太郎」
「その名で呼ばれるのも懐かしいことだ」

2022年も、2人の甘い恋が続きますように。