マレ白(死ネタ)

ツイステッドワンダーランドを知っているだろうか。其の世界の住人は容易に魔法を繰り出すことが出来る。喋る猫が居たり、モンスターだって当然のように現れるのだ。そんな世界に偶然か必然か。黒馬車に迎えられ、現れたのは、魔法が使えず己の今いる環境に驚きを隠すことが出来ない一人の少女だった。
其の少女は、橘花皙と言うのだが、喋る猫や魔法学校の生徒と協力してある事案を成し遂げたことから後に監督生と呼ばれ、色々な問題を友人たちと解決していく。不遇だったのは住む環境。元々彼女は此の世界の住人ではないらしく、オンボロ寮に住むことになってしまう。然し、其の環境があったからこそ出会うのだ、マレウス・ドラコニアという男に。其の男は、すぐに周りと比較すると明らかに浮いている彼女に興味を示した。
時には彼女の行動に驚き、喜び、そして愛おしく思うようになっていた。そうマレウス・ドラコニアは其の少女に心底惚れてしまったのだ。マレウスは、其の感情を隠せるほど器用な男ではない故、当たり前のように其れを口に出す。そうすると、彼女は顔に熱を帯びさせ、冗談は止めてくれと言って、顔を手で覆い隠してしまう。マレウスは自分の気持ちを否定されたようで酷く不愉快になってしまった為に、言うのを止めなかった。
生半可な気持ちで言葉に出すつもりは無い。そう表すように。
次第に、彼女も本気だということが理解できたらしく、何時の間にやら彼女と結ばれていると言ったまぁマレウス予想通りの展開に。マレウスは毎日のように、皙の傍を離れずに其の感情を真正面からぶつけていた。皙も皙で、其の感情を一生懸命受け止めながら自分も何か出来ないのかと精進する様子が学園内で見て取れた。マレウスの溺愛の程度に驚く生徒たちと何だか納得の言っているディアソムニア寮の生徒の半々が居た。今まで式典に招待されていなかったり、何かと物事に忘れられていたマレウスは皙という存在を離すつもりが、勿論無かった。共に過ごしてくれれば、其れだけで。そう思えた初めての女性だった。
然し、最近悩み事がある。今まであんなに自分たちを祝し、お似合いだ、と賞賛の声を掛ける者たちが、思い悩んだ眼差しを向けてくるのだ。
「皙、お前はどう思う」
皙は、火を灯していない瞳をずっと真正面に向ける。皙。もう一度名を呼べば、慌てた様子で、マレウスに用件を伺う。
きっと彼女も皆の様子が可笑しい、と察していたのだろう。最近の学園内の様子について尋ねてみると、曖昧な返事が返ってきた。体調が悪いのだろうか、顔色は悪くない様子。然し、最近の彼女は触れることを許してはくれない。隙を突いて、触れようとしてもどうしても避けられてしまうのだ。何回もそれを繰り返すものだから流石にマレウスも折れて、彼女の許可が下りるまで何もしないことに。
「マレウスちょっと良いか」
リリア、セベク、シルバーに呼び止められ、校舎の庭へと歩みを進めた、其れは勿論皙と共に。丁度良い機会であり、最近どうしたのか、と伺えるものだ。リリアたちはずっと昔から人生を共にした仲でもあるだからこそ、そのような酷く辛い表情をされたら困るのだ。マレウス、そろそろ目を覚ましたらどうだ。リリアの口から出た言葉は其れだった。そして、最も望まない冗談を言うのだ。皙はとっくに死んでいる、と。リリアでもそんな冗談は許さない、皙が傷ついているかと思い、大丈夫だ、と抱きしめる──ことが出来なかった。ルが一瞬にして消えたのだ。
「マレウスもうやめてはくれんか」
ルが死んだ?そんなのは嘘だ。絶対に。だってさっきまで話していて。さっきまで愛し合っていて。
『マレウスは寂しがりやだから、私が居ないと困っちゃうな〜』そうだ。僕は、皙が居ないと困る。だからこそ。だからこそ。
──もう一度懐かしきあの物語を繰り返そう。