【スクルドの時計は動かない】





『喧嘩は賢く且つ派手に。喧嘩の後いざこざが残らないくらいに、とにかく派手に思い切り』

草間支部長が良く言っていた言葉だ。

□■□

「名前がこっちに味方してくれて助かったよ」
「勘違いしないで下さい。私は支部長からの命令で動いてるだけだし、今は本部組が邪魔だからこうして対峙してるだけです」

太刀川さんの旋空弧月を交わして屋根の上へ。別に迅さんの味方をしているわけじゃないんだ。これは、命令。

「次はこっちを分断しに来そうだな。その場合はどうする?」
「別に問題ないよ。何人か嵐山たちに担当してもらうだけでかなり楽になる。風間さんがそっち行ってくれると嬉しいんだけどこっち来るだろうな」
「うちの隊の足止めする役ならたぶん三輪隊ですね。三輪先輩の『鉛弾』がある」

迅さんと嵐山隊の作戦は進んでいくのを横目で見ながら次のことを考える。

「名前はどうする?風間隊来るだろうし出来ればこっちの協力して欲しいんだけど」
「わかりました。ただ、私の戦神の鎖と迅さんの風刃は相性悪過ぎるので迅さんが風刃を起動したら私は嵐山隊の方に合流します」

でないと被害が拡大するので。それは敢えて口にせず飲み込んでおいた。嵐山隊と別れ、迅さんと二人。対峙するは太刀川さん、風間隊、狙撃手組か。これは必然的に風間隊の相手をすることになるのだろう。向き合った蒼也さんの緋い瞳と視線がぶつかった。

「蒼也さん良いんですか姿見せたままで?隠密戦闘は風間隊の常套手段じゃないですか」
『おーい名前さん?あんまり煽らないでくれないかな。こっちとしては穏便に終わるのが一番だから』

太刀川さんの攻撃をいなしながら内部通話をしてくる辺り、迅さんはまだまだ余裕なのだろう。蒼也さんがこの程度で煽られるなんて思ってないし、隠密トリガーを起動したら狙撃手との連携が取れなくなる。迅さんの狙いはわかってる。だからなるべく穏便に本部メンバーを撤退させるように動いているんだろう。けど、

(私には関係ないしな)

私は任務を遂行するだけ。喧嘩するなら賢く派手にやるだけ。そこに迅さんの事情も本部の事情も知ったことか。

迅さんが引き気味に戦闘している事に本部側も感づいている。迅さんの狙いは、

「こいつの狙いは俺たちをトリオン切れで撤退させることだ」
「あらら…」
「迅さん、バレてますよ」

チラリと隣に視線送ると罰悪そうな顔してる。そうこうしてるうちに風間隊が玉狛に向かうようだ。風間隊に行かれては私の都合も悪くなる。

「やれやれ……やっぱこうなるか」

隣からやたら冷たい声がして、背筋が一瞬ゾクリとした。声のすぐ後、目の前で起きた光景──菊地原の首が飛んでいった事に唖然とする。

「出たな風刃」
「名前、嵐山たちの方頼む。仕方ないプランBだな」

迅さんが風刃を起動した。私は急いで迅さんの元から離れ、嵐山隊の元へ向かう。

「名前が居なくなった。歌川隠密戦闘を準備しろ」
「……!狙撃手との連携が取りづらくなりますが……」
「いいから急げ」


「風間さん、そういえば何で苗字先輩が居なくなったのと隠密戦闘が関係してたんですか?」
「名前の黒トリガーはトリオンそのものに反応して攻撃してくる。奴に隠密戦闘やバッグワームは無意味だ」


□■□

全速力で向かった先は派手な銃撃戦が繰り広げられていて、此処にいるメンバー皆射程持ちじゃんって思ったらとっても楽しい事を思い付いたので、目標対象の真上にグラスホッパーで飛び上がり

「喧嘩は賢く派手にってね…メテオラ!」
「げっ…!!名前!!」

目標対象(主に出水)に対してメテオラの雨を降らせてやったらすっげぇ嫌そうなら顔した出水と目が合ったので、めっちゃ笑顔を向けてやった。ていうか、げっ!てなんだげっ!って!



同級生には容赦しない
(主に出水には手加減しないし、嵐山隊に被弾しなくて本当に良かった)


12 その考えは嫌いじゃない

ALICE+