【スクルドの時計は動かない】





迅さんと別れた後、帰ろうとした所を帰還したばかりの三輪隊と出くわした。どうやら民間人を保護したらしく、そのまま記憶措置までやらされる羽目になった。お陰で帰りは遅くなり眠くて仕方ない午後の授業。

「良いじゃねえか。名前の仕事だろ?」
「私じゃなくても出来る。A級だろ働けよ」

紙パックのジュース片手の米屋と

「お前もA級だろーが」
「五月蝿い。ていうか出水、お前のせいで昨日余計に怒られたんだからほんと許さない」

コロッケパンを貪る出水。
自習時間だからと気が付いたら窓際の私の席まで寄ってきていたこの二人。出水は隣の席だから仕方ないとして。最初は鬱陶しくて無視していたけど、出された課題はあっという間に終わり、結局だらだらと話しているわけだ。

「お前がバックれてるからだろぉが馬鹿」
「出水、お前遠征前にボコボコに、」

瞬間、嫌な予感がして窓の外を見た。二人はどうした?と小さく漏らす。
嫌な予感の先にあるのは、中学校。近くに隊員の反応はない。仕方なしに向かおうと窓に手をかけて、止めた。

「おい、どうかしたか?」
「イレギュラー門が開く。場所は中学校。行こうと思ったけど此処からじゃ遠いし嵐山隊が動いてるっぽいから任せとこう」

昨日の今日でまた勝手に動くといい加減忍田さんが怖い。嵐山隊が動いてるなら任せるのが得策だ。それに、

(知らないトリオン反応がする……)

中学校内に感知した見知らぬトリオン反応。気にはなるがそこから動く気配もないし、何となく害は無さそうだ。

「しかし最近ほんと多いよな、イレギュラー門」
「今開発部が総出で調べてるって。うちのエンジニアも駆り出されてるし」
「弾馬鹿が戻って来る頃には解決してんじゃねーの?」
「五月蝿ぇよ槍馬鹿。そういや夏美、また遠征断ったんだって?」
「うちの隊員二人も送り込むんだから私が行く必要ないデショ」

米屋が勿体ねぇーとか言ってるが無視。別に強制されてないし、だったら行く必要ないでしょ。二人の興味はいつの間にか離れていて、早く学校終わんねぇーかなーとか、ランク戦しよーぜとかくだらない物へと変わっていたので私は一眠りする事にした。

ホームルームも終わり、各々が帰り支度をしている中、馬鹿二人はランク戦をやるとかで帰り支度を急いでいた。こいつら馬鹿だなって他人事のように見ていたらお前もだよって手を引かれて本部に連行されたのは数時間前の話。相変わらず白熱してる馬鹿二人を置いて一足先にその場を離れた。


ランク戦は正直好きではない。

戦えば戦うだけ人の目につく。
A級ってだけで目立つのに、個人戦で上位ランカーになんてなった暁には他者からの視線が文字通り痛いくらいだ。だったらポイント変動がない訓練室での模擬戦をひたすらやってる方が楽しい。

そろそろ切り上げよう、そんな時最近頻繁に感じる嫌な予感。今から現場に向かっても間に合わないだろうし防衛任務中の隊員に任せようと、とりあえず屋上へと向かう。
屋上に着いた頃には巨大な魚みたいなやつが川に落ちて爆発していたので、誰かが撃墜したのだろう。すぐ近くに木虎と、昼間感じた知らないトリオン反応があった。



それは未来への助走のようで
(迅さんのあの言葉が頭に過ぎったのを気付かないふりした)


02 カウントダウンは始まっている

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