「近界民はすべて敵だ…!お前だってそれを良く知っているはずだろ、苗字!」
その言葉に込められた感情は、酷く私の心を冷たく凍り付かせた。
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迅さんと別れた後、三輪に会わなきゃ良かったと今になって後悔してる。眼鏡くんと何を話していたのかが気になった。そして私の中にある一つの可能性の裏付けがしたかった。だから三輪と逢った。最初はお前には関係ないの一点張り。仕方なく可能性の話をしたら驚いた顔をして教えてくれた眼鏡くんの嘘、それ即ち近界民との関係を表すもの。可能性が色濃く確信へと変わっていった。こうなると、三輪の考えなんて手に取るようにわかる。だから言ってしまったのだ。
「迅さんに任せておけばいい」と。
瞬間、視えた物に吐き気がしたがもう遅い。より一層悪くなった目つきと堰を切ったように溢れ出る怒号。右腕を掴まれ壁際へと追いやられ挙げ句背中を叩き付けられる。叩き付けられた背中よりも、掴まれた右腕が痛い。心が痛い。
「裏切り者」と吐き捨てられる度に酷く心は冷めていくのに対して、掴まれた右腕はどくりどくりと熱を持っていく。
「三輪…離せ」
「近界民はすべて敵だ…!お前だってそれを良く知っているはずだろ、苗字!」
「離せ…」
「お前のこの右腕は、」
「三輪!」
遮るように発した声に、一瞬ハッとした表情を浮かべた三輪。掴まれていた力が緩んだ事を確認し、ゆっくりと腕を下ろす。三輪は俯き黙ったままだ。
私は後悔していた。
三輪の気持ちは手に取るようにわかる。だからこそ、迅さんの、玉狛の話はしてはいけなかったのに。近界民はすべて敵としている三輪が、玉狛を──そして亜里阿を裏切り者と考えていることはわかっていたのに。
同じ痛みを持つ者同士、だからこその怒り。
三輪が私に抱いている感情は、何時だって──同情だ。
言われた事もだけど、三輪に言わせてしまった事に対して、私は酷く後悔した。
「近界民が敵なのは知ってるさ。そんな事……わかってるよ」
「だったらっ…!」
「三輪の気持ちもわかる。でも近界民すべてが敵じゃない。それだけは言える。近界民が敵なんじゃないんだよ。立ちはだかる奴が敵なんだよ」
例えそれがどんな存在だろうと
(私は酷く後悔していた。冷め切った感情を彼にぶつけてしまったことに対して)
04 理解者を欲している
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