昨日の空閑対村上先輩の戦いを見逃したらしい熊谷ちゃんに「ログ欲しい?」って聞いたら欲しいって言われたので帰宅してすぐにデータを送ってあげた。ついでに私と村上先輩のやつも。今回の玉狛の相手は鈴鳴第一と那須隊。隊編成が全く同じの三チームがぶつかるわけだ。今回はどーしようかなぁとか玉狛支部の訓練室で空閑の相手をしながらそんな事を考えていた。
「鈴鳴とはさ、うちも合同で防衛任務やったり、来馬先輩には銃手の指導して貰ったりしてるんだけど那須隊が言うほど親しくないんだよね」
「那須ちゃん普段は滅多に本部来ないしね」
「こないだ村上先輩とはランク戦したし、那須隊にはデータ渡したし。今回はそれでいいかなぁって」
「ちゃっかりそーいうことやってるじゃない」
「どうせ玉狛第二の手伝いはするんだから他の隊にもしなきゃデショ。こういうのは何事もフェアにいきたいの」
「フェアねー……」
空閑の相手を終え、宇佐美が入れてくれたお茶を啜りながら一休憩。任務から帰ってきた小南も交じりしばし談笑、というわけでもないけど。
「こないだは引き分けてたけど実際のとこナマエ先輩とむらかみ先輩ってどっちが強いの?」
「武器と状況による」
「それ答えになってないわよ」
小南に突っ込まれたが事実なのだから仕方ない。空閑はよくわからないといった表情で首を傾げている。
「弧月使って戦うんだったら村上先輩のが断然強い。私弧月苦手だし」
「じゃあスコーピオンだったら?」
「スコーピオンだけだったら五分五分かなぁ」
「あんた普段スコーピオンだけじゃないでしょ」
「通常装備だったら六割、こいつなら十割かな」
右腕のそれに視線を向ける。実際村上先輩と黒トリガーを使って戦った事はないけれど、こいつを使って負ける事はまず有り得ない。それくらい、馴染んでしまった。
「まぁ勿論必ずじゃないけどね。勝率で言えばそんな感じってこと」
「ほうほう。むらかみ先輩はナマエ先輩の黒トリガー知ってるの?」
「いや、知らない…と思う」
「はぁぁ?なんでそんな大事な事覚えてないのよ!?」
だって、と此処最近いろんな人間に知られてしまった事を話したら小南にまた怒られた。今日はよく小南に怒られる日だ。
「亜里阿と玉狛、上層部以外だとA級の上位チームと三輪隊、嵐山隊、諏訪隊、後は東さんと師匠には知られてるかな」
指折り数えてみて結構増えたなぁと苦笑い。一応ボーダーの最重要機密の一つなんだけどこんなに知られてしまって良かったのだろうか。
「遊真くんうっかり本部とかでこの話すると名前に記憶消されちゃうから気をつけなよー」
「そうなのか!?それは気をつけねば…」
「宇佐美…言い方…」
「でも事実だから気をつけなさいよ?名前、あんたも亜里阿には機密事項多いんだからベラベラ喋っちゃダメよ」
「そうやって機密事項があること小南がベラベラ喋っちゃわなければ大丈夫だよ」
ニヤリと笑ってやれば、小南はハッとした表情で「記憶…!」とか言い出すからついつい笑ってしまった。小南は昔からちょっと阿呆で、そこが憎めない。
「ヒミツがあると聞くと気になるが…聞いたら記憶を消されるのか…」
「いやいや。そんな簡単に記憶消さないし、言うほど機密事項なんてないし」
「なに?そうなのか?」
「特にはね。亜里阿支部も普通に隊員なら入れるし、何なら遊びに来ると良いよ」
「おお!それは楽しみだ!」
キラキラと瞳を輝かせている空閑がなんだか可愛くて可笑しくて、ふと、うちの可愛いくて無愛想な後輩の姿が頭に浮かんでこれは良い機会だと頬が緩んだ。
「そうだ。空閑、」
ひとつ、ヒミツを教えてあげよう
(それはキミとカレを繋ぐ共通点)
37 内緒の話をしようか
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