橋が崩され東西でチームが分断された。解説席の迅さんがいうように、どの隊も作戦を変更せざるおえなくなる。予定外からでも崩れず立て直す部隊の地力さが試される展開。凍矢は楽しそうにスクリーンを見つめている。西は攻撃手が、東は中距離戦が繰り広げられていた。
「玉狛がやられりゃ次は鈴鳴だからあそこで太一が撃つのはナシじゃないけどなー相手が悪い」
太刀川さんが真面目に解説してるの違和感あるが確かにって思う。那須ちゃんはボーダー屈指の変化弾使いだ。
「リアルタイムであれだけの弾道を引ける変化弾使いはウチの出水と那須だけだ」
「あと、亜里阿第一の苗字隊長ね」
「確かに。でもアイツ変化弾より炸裂弾ぶっ放してくること方が多いからなー」
「はは、名前は爆弾魔だからね」
「言われてるぞ隊長」
「余計なことを……」
サラッと名前出してきた迅さんも迅さんだけど。炸裂弾ぶっ放してくるのはお宅の出水も同じだから!って今すぐ太刀川さんに反論したい。出来ないから腹いせに今度出水を吹っ飛ばす。
「で、この状況打破に向けて苗字隊長の考えは?」
「考えもなにも……空閑が村上先輩倒さなきゃ玉狛には勝ち目ないし」
私が空閑の立場なら迷わず日浦を潰しにいくけど。何処に隠れてるかわからない狙撃手を見付けられるのは私だから成せる技であって、そうなると空閑がやることは一つ。
一瞬の攻防。村上、熊谷両名に挟まれた空閑の右腕が死んだ。賺さず放たれた狙撃は躱され、空閑は日浦を仕留めるべく動く。普通なら緊急脱出してもいい状況。それでも日浦は空閑を迎え撃つ。日浦が仕掛けていた炸裂弾により倒壊する建物。アイビスを構える日浦。そして、右腕を囮に日浦を仕留める空閑。これで西岸の均衡は崩された。
熊谷、村上両名の攻防は続く。援護もなくし、実力差でいっても熊谷ちゃんは圧倒的不利だ。落ちるのも時間の問題だろう。
「ていうかさ、別に無理に村上のこと倒さなくてもよくね?空閑1点取ったし。グラスホッパーで壊れた橋を足場にすれば」
「熊谷ちゃん倒した後、村上先輩は何が何でも東岸に合流するよ。そしたら鈴鳴は3人揃うし結果的に空閑が倒さなきゃいけなくなる」
それに、
「私が三雲の立場なら多分倒してこいって言う」
こっちはこっちでなんとかするからお前はお前の倒すべき奴を倒してこい。
三雲は果たして空閑に何と言ったかまではわからないけど、多分同じような事を言ったんじゃないだろうか。
熊谷ちゃんが落ちた所で、西岸は両チームのエースが相見える事となった。
「一方東岸では射撃戦が激化!」
東岸は那須ちゃんが点を取り返そうと変化弾を縦横無尽に走らせている。三雲が那須ちゃんへの嫌がらせ攻撃に入り戦況を上手くコントロールしてるように見える。鈴鳴を生かしておく為はわかる。が、やり過ぎると狙撃手の援護がないのがバレる。鈴鳴も那須ちゃんをあんまり川に近付けすぎると村上先輩が川を渡ってくる時の障害に成りかねないからそれを避けようとしてる。
「(那須ちゃんがどう動くかだけど私なら……)」
「那須隊長の変化炸裂弾が炸裂!那須隊が1点取り返した!」
思わず唖然とする。
確かに自分なら変化炸裂弾ぶちかましてとか考えたけど那須ちゃんが合成弾を使うとは。だって太刀川さんが言ってるように那須ちゃんが合成弾を使うのは初めて見た。
「(これは早くしないとだぞ、空閑)」
西岸のエース対決は橋の上で繰り広げられている。橋まで来たということは逃げ切りも考慮か。いや、空閑がそれをするとは思えない。
「グラスホッパー?」
空閑が仕掛けたグラスホッパーで村上先輩が跳ね上げられる。
「さらに組み付く!川に押し出す狙いか!しかしこの距離なら村上隊員にはスラスターがある!」
「ああ、なるほど」
「なに?何か視えたか?」
「私の未来視はスクリーン越しじゃ視えないの知ってるデショ。空閑がしようとしてることがわかっただけ」
雨取の砲撃により橋は更に破壊され、二人は川に落下。
「この雨風で川の流れは速い。流石の村上先輩も水中戦なんて経験無いだろうから隙は生まれる。弧月よりも自由度の高いスコーピオンならそんな隙を突くのは容易いはずだ」
勝機は何時だって狙った奴にやってくる
(川の中から光の筋が見えた)
41-U 晴れ間を掴む奴
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