出水公平の同級生に対する考察 1
喧嘩馬鹿が辻の極度の女子苦手意識の改善に協力すると言い出し、辻もそれに応える形になった数日前。ぶっちゃけどうでもいいんだが、名前が辻に何かしたらおれが怒られる。誰にって、二宮さんに決まってる。それだけはほんと勘弁して欲しい。
そんな事があった、と槍馬鹿に話したら「おもしれぇーじゃん」ってゲラゲラ笑ってやがるくそ蜂の巣にすんぞ。
結局辻の事も名前の事もどうでもいいようでじゃあまぁランク戦すっかーなんて流れになり、C級のブースに足を踏み入れた。
「あ!いずみん先輩とよねやん先輩!」
ちーす、と緑川が軽い挨拶と共に駆け寄ってきた。大体玉狛の空閑とかと一緒にいるのに今日は珍しく一人だ。聞けば、人を待ってるとか。
「あ、もうすぐ終わりそうかな」
緑川が指したモニターに映っているのは此処に来るまで話の中心に居た辻と、弧月を振り回し辻を追い詰めている見覚えのない帽子の奴。逆手で弧月振り回してるから一緒荒船さんかと思ったけど、そもそも隊服が違う。あの隊服は同じくさっきまで話の中心だった喧嘩馬鹿の率いる隊のものだ。そいつの正体が誰だかわからないまま画面の中の辻が一刀両断された。
「おい緑川あいつ誰?」
「へへへー会ってからのお楽しみ!」
何やら御機嫌な緑川に疑問を抱いていると、さっきの奴と辻がブースから出てきた。
「なぁ辻こいつ誰?」
「苗字さん」
「は?」
しれっと答えた辻の言葉を思わず疑った。疑ってバッと辻の隣に居る奴に目を向ければしてやったり顔している。え、嘘まじかよ?
「辻先輩もうちょい黙ってて欲しかったなぁー」
「え、まじで名前?」
「そうだけど?」
これまたしれっと言い放つが今目の前に居るそいつは明らかに俺の知ってる名前ではない。なんていうか、
「荒船さんに似てね?」
「そう!それだ!ナイス槍馬鹿!」
「確かに言われてみれば似てるかも。でもよく見るとやっぱ名前先輩だよね」
「流石に顔のパーツは変えてないし。髪型と体型は師匠寄りにしたけど」
「え、待ってまじでどういう事?」
「辻ちゃんの女の子克服作成」
「いや余計意味わかんねぇから」
いい加減頭混乱してきた。荒船さん似の名前に詳しく話を聞くとつまりはこうだ。辻の女子への苦手意識を減らすのにまず見た目が女じゃなくなれば大丈夫なんじゃねぇかってなったらしく自分のとこのエンジニアに戦闘体を男仕様に変えたんだとか。ちなみにこの説明を聞いた槍馬鹿は爆笑してる。おれは呆れて盛大な溜息が出た。
「お前馬鹿じゃねぇの」
「でも実際辻普通に戦えてたし。師匠に見た目似せたのはあれだよ、帽子合った方が顔隠れて良いかなって思っただけだよ。顔は自分のまんまだからさ」
「そういう問題じゃねぇだろ」
「本当は親近感持たせようと二宮さんに似せようとしたんだ。ちなみにこんな感じ」
トリガー解除とトリガー起動を順番に行い現れた二宮さんそっくりの名前に全員膠着した。
「馬鹿!それは止めろ!今すぐ戻れ!二宮さんに殺されるぞ!」
「はいはいトリガー解除。まぁ別に二宮さんはどうでも良いんだけどさ。辻が萎縮しちゃうかなって思って止めたんだよね」
「流石にそれは俺も困る」
「ていうか帽子で顔隠れてれば良いなら別に荒船さんに似せなくてもよくね?」
「そこはあれだよ。形から入るってやつ」
「あ、それオレすげぇーわかる」
「槍馬鹿と一緒は嫌だなぁ」
考察結果:馬鹿しかいねぇ
(名前先輩!次オレと勝負する約束!その格好のまんまね!)
(よーし緑川ぶった斬ってやるぜ)