「綺麗なお花ですね」

隊室の一角に置かれた荷物の山。生まれた日を祝いにやってきた者達に渡されたそれらの中に一際目立つ真っ赤な花。やはり女子は花が好きなのか。三上は楽しそうな声で話すからこれを置いてった奴の顔を頭に浮かべると、やはりそいつも楽しそう声と顔だった。


「名前さんから、ですか?」
「よくわかったな」

やっぱり、と三上は笑う。
聞けば花屋の前で会ったのだという。
「名前さん、何か言ってましたか?」と続いたのでもう一度思い返してみる。

わざわざ隊室までやってきて、祝いの言葉と花を置いて防衛任務があるからと出て行った、時間にしておよそ三分。思い返して浮かんだのは──


「花言葉」


『蒼也さんの眼と同じ色なんですよこれ。サルビアの花言葉は尊敬。私から蒼也さんに向けてピッタリだなって』

確か、そんな事を言っていたなと思い出す。


「サルビアの花言葉は尊敬、らしい」
「サルビア……緋衣草、ではなくてですか」

女子は表情がコロコロと変わる。さっきまで楽しそうに話していたのに、今度は残念そうな、呆れたような声になる。


「…なにか知っているなら話せ」
「これは名前さんから聞いた方が良いですよ」

三上はまた楽しそうだ。


三上の言葉がどうも引っかかり任務終わりの苗字を捕まえた。話があると伝えたらやたら狼狽えていたからやはり何かがある、と察した。


「あの、お話とは」
「緋衣草というのか、この花は」
「……もしかして三上ちゃん、ですか?」
「ああ」
「言わないでっていったのに……」

苗字は頭を抱えるようにしてしゃがみ込む。花のことなどわからないが、この二人の中で何か隠し事があることはわかる。しゃがみ込んだままの苗字はあーだのうーだの唸りを上げたあと、盛大に溜息を吐き出した。


「……三上ちゃん、なんて言ってましたか?」
「お前から聞いた方が良いとだけだ。何を隠している」

散々唸った後、もう一度溜息を吐き出してゆっくりと立ち上がる。その目は少し潤んでいるようにも見えた。


「サルビアの標準和名が緋衣草なんです。ただ、」
「ただ?」
「花言葉が、違うみたいで。サルビアは尊敬。緋衣草は、」


──″あなたのことばかり思う″


「か、隠してっていうか……その、」
「苗字」
「は、はい……っ!」
「俺は花の育て方なんて知らんぞ。毎日水やりに来い、責任持って家で面倒見ろ」
「え…それって、」
「わからないか。なら、お前の誕生日にこれと同じものを贈ればいいか?」



(緋衣草と同じく顔を染める彼女を抱き締めた)



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書きたかった部分は別の話に持ってくことにしたらよくわからなくなった。
真っ赤な花を風間蒼也に贈りたかっただけ。

風間蒼也生誕祭2016
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