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クレイマン氏作成のフリーゲーム「7人目のスタンド使い」の設定を使わせてもらっています。読む分にはヒロインがクルセイダーズに同行して生き残ったことだけわかれば大丈夫です。





エジプトから日本に帰るとまず、両親に叱られた。連休明けになっても家に戻ることができなかったからだ。連絡は時たま入れていたけれど、二ヶ月近く姿を見せなかったのはよほど心配させたらしい。姉も久々に顔をあわせるとホッとしたような顔をして、おかえり、と言ってくれた。日本でのわたしの生活は以前とほとんど変わりがない。命がけの50日間は夢だったんじゃあないかと思うほどに。たった一つ残された承太郎との友情があの旅が現実であったと知らしめてくれるものだった。もっとも彼は群れたがらない人だから一緒にいる時なんて、わたしが朝練のない日の登校時間と放課後、承太郎が補講の課題を終わらせてしまうまでの間という限られたものであるのだが。承太郎は頭がいい。以前から学校に来る頻度が低いから授業に出ている回数はわたしより少ないはずなのに、わたしが下校時刻ぎりぎりまで悩んでいる問題を1時間もしないで終わらせてしまう。そして、体調は回復したもののいまだホリィさんが心配なようでさっさと帰っていくのだ。何度か勉強を教えてくれと頼んで、時には腰にしがみつくなんて妖怪じみたことをしたのにあっさりとひっぺがされた。なんつー冷たいやつだとは思うのだが答案を机の上に置いておいて答えを写しても良いというのが彼なりの優しさなのだろうか。負けた気がするからまとめて提出するにとどまっているが。しかし、珍しいことに承太郎はもうすぐ下校時刻だというのにここに残っている。しかもピクリともしない。まさかと思いながら鉛筆を置いて、そっと前に回り込んでみると、彼はうたた寝をしていた。羨ましいほど長い睫毛がよく見える。手元の答案は名前以外、全てが埋まっていた。逆になんでここまで来て眠ってしまったのが疑問であるが、それだけ限界だったのだろうと一人納得した。わたしも漢文の選択問題を一つ解いてしまえばおわりだ。そのあとに起こしてあげよう。そうして彼の真後ろの席に戻ろうとしたらいきなり手首を掴まれた。そのまま加わる握力に加減はなく、振りほどけもしない。痛みに顔をしかめながら振り返ると承太郎がこちらをしっかりと見つめていた。
「お前も、行くのか。」
どうやら寝ぼけているらしい。質問の意図が全くわからない。
「そろそろ帰るけど。」
とりあえず事実を述べたらさらに力を込めて握られた。というかにぎり潰されている。ミシミシと不吉な音が筋肉とか骨に響いている、気がする。
「やめろ、行くな。お前やポルナレフまで居なくなられたら……。」
そこまで言っておいて承太郎は再び寝こけ始めた。私の手首を握ったままだ。力は緩んだから振りほどこうと思えばできるけれど、なんとなくそのまま握らせておいて帽子越しに彼の頭をかるく叩いた。大人っぽくてめったに動揺なんてしないから忘れがちだけど、承太郎だって同い年の男の子なのだ。短い間ではあったけれど、背をあずけあった仲間たちを亡くしては、思い悩むはずだ。わたし自身、眠りの浅い日が続いている。
「承太郎より先には死なないよ。」
今までならそれはきっと果たせる約束なのに、叶わないかもしれないという予感はある。スタンドをこの手にして、自分が世界の異物と知ってしまったわたしは、みんなと出会う前、彼氏ができないことや明日のテストを気に病んでいればよかった人生には戻れない。スタンド使いは惹かれ合う。不可抗力の引力で。スタンド使いは、スタンド使いによってしか裁けない。自分で思っていたより無鉄砲なお人好しのわたしは、これからも危険な機会に恵まれてしまうのだろう。それでも、同じ苦しみを持つ彼へ口にせずにはいられない。きっとわたしもそう言ってほしいから。
外は雪が降っている。東京の雪は積もらずにとけてしまう。それでも、灼熱のカイロには降らなかった雪だ。まだ暖房が効いている時間だから、教室の中はセーラー服でも寒くない。今、ストッキングの中に隠している靴下焼けも自由登校になるころには消えてしまうのだろう。
次の桜が咲くまでに


生き残った二人が感傷的になるやまなしおちなし意味なし話ですが、あれだけの旅をしたら日常のふとした瞬間、命についてだとか、考えられずにはいられないのではということです。





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