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「到着!到着ゥ!」
「ここが藤の家?」


豆太郎の案内の言う通りに着いて行った先にあった家には、名の通り藤の花の家紋が描かれた門がどっしりと構えていた。藤は鬼達の嫌う花。だから藤の花の家紋なのかな。自分の使う呼吸との接点を見つけたことで親近感が湧く。
中の人を呼ぶ為に大きな門を叩こうとすると、私の手が門に触れる前にギイィ…と門がゆっくりと開いた。そこから出てきたのは小柄の優しそうなお婆さん。「こんばんは」と、挨拶をするとお婆さんは頭を深々と下げ「鬼狩り様でございますね」と言って私を中へと招き入れた。
先導するお婆さんの後ろをついていく。お婆さんなのに歩くのが速くて驚いた。こ、これも熟練の技…(?)
それにしても鬼狩り私達について知っているということは、この藤の家というのは鬼殺隊御用達ということなのかな。まあ、豆太郎がここに来るように言ったということはそういうことなんだろう。連続であった任務で疲れていたからゆっくりしたいと思っていたところだ。怪我を治すついでに長居できるのなら丁度いい。骨が治るまでゆーっくりと休ませてもらおう……。療養!療養!





「お召し物でございます」





「お食事でございます」





「お医者様でございます」
「どうも」





「……」


さっきからこのお婆さん先回り早すぎるでしょ!?服も清潔だしご飯も美味しかったしお風呂もいい湯加減だったしで最高だったけどさぁ……。徹底されすぎてて逆に落ち着かない
んですけど!?お婆さん慣れすぎ!!!!
内心物凄く驚いていたせいでお医者さんに触診されている最中に「心拍が通常より速いですねえ…」と言われ、慌てて「それは体調が悪いとかじゃないので大丈夫です!!!」と誤解を解いた。やはり骨は折れていたらしい。背骨はヒビが入っていた。あとそれに加え、全く気がついていなかったが肋骨も折っていたみたいだ。一本だけ……。
お医者さんも帰ったし、もう今日は寝よう。激しい運動もしないようにって言われてるから明日はゆっくりこの辺りの散歩にでも行こうかな。
丁寧に敷かれた布団の中に潜ると今までの疲れがドッと溢れ、私はあっという間に深い眠りについた。




そして事が起きたのは次の日の夜のことだった。

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