03
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朝になって目覚ましの音で目が覚める。アラームを止めて、肌に触れる温かさに無意識に擦り寄った。目を開けると、ルーが優しい目で私を見つめていた。
「おはよう」
「おはようございます」
抱きしめられていたけれど、私は少しだけ体を起こした。部屋を見渡すと、ルーがいてくれてよかったと思った。1人の寝起きにこの部屋を見たらと思うと……。しかも朝だというのに、どことなく薄暗い。
なんとなく気怠い体と、まだふわふわしている頭でぼんやりしていると、ルーがスッと指で私の頬を撫でた。下を向いて顔を見ると、どうやらまだ自分を見ていろということらしい。撫でた頬に手を添えて、そのまま引き寄せられた。
唇が重なると、少しずつ力が抜けていく。仕事の準備を始めないといけないのにと思いつつも、気付けば上下が反転していた。
ルーとのキスに息が上がって、離れたときにはくたっとベッドに横たわっていた。最後に胸元にチリッとした痛みを残されて、ルーが起き上がった。
満足そうな笑顔を浮かべたルーは、朝の支度を始める。私もなんとかそろりと起きて、布団を身に纏った中で散らかった服を身につけていった。
あまりゆっくりはしていられない。それはルーも同じようで、身支度はきっちりしながらも、私の支度が終わると一緒に部屋を出た。私はゴールドソーサー内の売店でなにかを買って食べようと決めた。
「ではまた」
「はい。ありがとうございました」
フロントとオートスロープまでの道を乗り切り、私たちはオートスロープを降りた所で別れた。頭を撫でてくれた手に名残惜しく思いながらも、その先にはタークスの皆さんがルーを待っていた。
後ろ姿を見送っているときに、まだ下ろしたままだった髪をルーが掻き上げるのを見た。たったそれだけで、ある程度いつもの髪型へと戻っていた。きっと騒がれるからと、私にまた配慮してくれたのだろう。
さて、私もお昼まで仕事頑張らないと。今日の夕方にはミッドガルに帰れる。明日は1日休みを貰えているからちゃんとゆっくりしたかった。
「よし!」
気合いを入れて、売店で買ったホットドッグとコーヒーを手に、ここでの最後の仕事に向かう。
集中して同僚たちと仕事を終えると、揃ってホテルへと戻った。ルーのおかげと、数人でまとまって歩いていたからゴーストスクエアの道は怖くなかった。
フロントのホテルマンの人も他の人が呼んでくれたし、最後は部屋だ。
「あれ? なんだろ」
部屋に戻ると、ベッドの上になにか置かれていた。ルーに教えてもらった通り、ギミックのセンサーに引っかからないよう、テーブルに近寄って歩く。ベッドに近づいて置かれていたものを見ると、抱きしめられるくらいの大きさのデブモーグリのぬいぐるみと、1枚のメモが置かれていた。誰からだろうと、私はメモを手に取って読んだ。
『怖がりの恋人へ
これを抱えてチェックアウトするといい。
From R』
「ルーからだ!」
きっと自分がいなくなれば怖くなるだろうと、バトルスクエアの売店で売られていたぬいぐるみをプレゼントしてくれたんだ。離れても守ってくれようとしてくれる気持ちに嬉しくなった。
私は早速デブモーグリのぬいぐるみを抱きしめると、カバンを持って部屋を後にした。
ぬいぐるみをギュッと抱きしめて、1人でもゴーストスクエアを出ることができた。ルーのおかげで怖いだけの思い出にならずに済んでよかった。ミッドガルに戻ったらお礼の電話をしようと思いながらヘリに乗り込む。膝の上にぬいぐるみを置いて、初めてのゴールドソーサーが遠ざかっていった。
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