猫目のプリンス

「うわっ!誰!?」
「うわっ!!ビックリした〜〜!そっちこそ誰!?」

思わず上げた声に驚き返すリアクションから、いつもの治良くんだと安心させられる。しかしそれでもなお、彼は眉間にシワを寄せて訝しげに私を睨みつけた。

「その声はもしかして名前ちゃ〜ん?」
「そうだけど……てか何、見えてないの」
「よかった〜〜!名前ちゅぁん聞いてよも〜〜!!さっきそこで眼鏡割っちゃってさぁ、マジで何も見えなくてヤバいの俺〜〜〜〜!!ウケるよね〜〜!!ものは相談なんだけどちょっと一緒に来てくれない?道案内してほし〜な〜〜!なん……て…………」

治良くんがダラダラと喋り続けている間に黙って取った手。そんなの、言われなくても傍にいてあげるってば。

「こうしてた方が今の治良くん歩きやすいでしょ」
「あっ、あー、……うん!ありがとーー!!」

王子様、お手をどうぞ。