瞼のシャッターチャンス

「理穂ちゃん!理穂ちゃん」
「なに、名前」

駆け寄ってギュッと抱き着いたら柔く受け止めてくれる。理穂ちゃんはそんな人だ。
クールな瞳の奥に優しさを持っている、そんな人なのだ。

「今度の日曜、一緒にお出掛けしよ。映画館行こ!」
「名前が観たいって言ってたやつ?」
「ううん、理穂ちゃんが観たがってたやつ!」

そう言うと理穂ちゃんは静かにふたつ瞬きをして、何か納得した様子で「アタシのことよく見てるね」と微笑んだ。
理穂ちゃんは気持ちをなかなか言葉にしないけれど、理穂ちゃんが好きなものはすぐにわかる。理穂ちゃんがじっと何かを見つめているとき、その視線の先には理穂ちゃんの好きなものがある。だから駅前のポスターを見つめる理穂ちゃんを見たとき、それに興味があるんだなって分かったの。

「えへへ」

そうでしょ、って笑ったら、理穂ちゃんが私をじっと見つめて頭を撫でてくれた。

くーるあい、ほっとあい