ざらつく塩味

久しぶりに会えることになった休日。
私は龍臣くんの部屋の中、彼を布団の上に押し倒して跨がり、捲り上げたシャツの下にあった彼の腹筋をなぞるように舐めていた。
ぼこぼこと盛り上がった筋肉の山を丁寧に越えて胸の下まで到達したとき、顔を赤らめながら私を見つめていた龍臣くんが身じろぎ、口を開いた。

「あの……、苗字さん……」
「ん〜?」
「そろそろやめないと、その。家族が……」

帰ってくるかもしれない。そう言いたげな龍臣くんの表情からは興奮の色が見えたままで、額や首筋に汗を浮かばせている。それがどれほど私を煽っているのか龍臣くんは分かっているのだろうか。

「あとちょっとだけ。ね、いいでしょ」
「うっ……、少しだけですよ」

そうは言っても体は正直なもので、ぺろりと舐めると私の腹部を押し上げる龍臣くんの固くなったモノがピクリと跳ねたのを感じた。眉間にわずかなシワを寄せ、目を瞑り、唇を噛みしめる龍臣くんが何か考えているとすれば、欲望のまま抱き寄せて触れ合ってしまいたいのを堪えているのではないだろうか。今は二人きりとはいえ、いつ家族が帰ってくるかも分からない。それなのにこの状況に抗いきれない自分がいることを、確かに感じているのではないだろうか。最もこれは憶測である。
ずるりずるりと少しずつ体ごと下がり、彼のおへそにキスを落とす。龍臣くんも、ズボン越しに自身が当たっていることが分かっているのだろう。「ひぁ……」と嬉しそうに漏れる声と共に、ゴクリと生唾を飲み込む音がした。

「龍臣くんしょっぱい」
「汗、汚いですよ……?」
「んー」

ちゅ、ちゅと大きめに立てたリップノイズが部屋に響く。汗の雫は次々と滴り、唇でいくら掬っても濡れるばかりだった。

「龍臣くんおいしい」
「う……苗字さん……」
「また今度続きしよーね」
「はへ、つづき、へへっ……、はい……」

おすわりして待っててね