「マッキーって好きな子とかいるの?」

って。そんな会話が聞こえちゃったから、ついつい立てた聞き耳。隣の席のあなたに。

「いるよ」
「えー! 誰? 同じクラス?」
「違う……。ていうか、彼女だから」

えっ。今なんて?
思わず落としたアルミ製のペンケース。教室に響く雷鳴の如き音。散らばるペンに消しゴム、私の心。呆然とする私に向かって「なにしてんのなまえー」と笑う友達の声。

「……みょうじさん、大丈夫?」

隣を見れば私を見つめるあなたの顔。
その手には私の落とした消しゴムがあって、私はただ「ありがとう」と受け取ることしかできませんでした。

隣の席の槙人くん

なんて呆気ない失恋