全部私が先だった。あいつより私が何もかも先だった。

「なまえちゃん!聞いて聞いて〜」

出会ったのも、仲良くなったのも、名前を呼ばれるのも、二人で出掛けるのも、手を繋ぐのも一緒に食事をするのも、時には抱きしめてみたり抱きしめられたり彼女の髪を弄んだり頬に触れたり寄り添って眠ったり、私の方があいつよりも先だった。後から出てきたやつなんかに負ける気持ちはこれっぽっちも持っていなかった。私達が一緒に過ごした時間は彼女があいつと過ごした時間よりずっと長くて、だから、確かなものだと思っていた。他の誰より負けないつもりだった、出会った時からずっとずっと好きだった。言葉にしなかった事もいつか伝わると思っていた。私は今までもこれからも傍にいられると思っていた。でもそれは間違いだった。自惚れだった。私は女で、君も女の子で、君は女に恋をしなかった。いや、少なくとも、私に恋をしなかった。

「電くんがね!」

テディ・ベアは愛を贈る

だって、君に愛を説いたところで「ありがとう」と言うばかり。