「これくらい心配いりませんよ」
「ダメだよ、ちゃんと手当てしないと。大事な手なんだから」

ぷくりと血の滲む彼の太い指に消毒液を塗り、絆創膏を貼る。彼はどこかむず痒そうな顔をしていたが、たとえ小さなかすり傷であっても私としては見過ごせないのだ。

「……電くんの手はおっきいね」

絆創膏を貼るだけの手当てというのは瞬く間に終わってしまう。せっかく触れた手を離すのが名残惜しくて、彼のゴツゴツとした甲に指を添わせてなぞった。するり、するりと彼の指先へ進み、あとわずかで手が離れる……というところで、優しく手を包み込まれた。

「名前氏の手は小さいですね」

私の手を両手で包み、ほんの少し目を細めて笑う彼がたまらなく愛おしい。そう思って、その温かい拳に頬をすり寄せ、そっとキスを落とした。

愛しいひと

がんばるキミの手が私にとっても宝物。
大事にしてね、大事にするね。


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