集中した横顔がふたつ。緊迫した空気の中、コントローラーのボタンだけがカチャカチャと音を立てていた。ゲームをはじめてからどれ程経っただろうか。ついにフロアボスは倒れ、ステージクリアのリザルト画面が表示された。ようやくここまで来たかと息をつくと、佳樹くんも疲れた様子で息を吐き、コントローラーを床へ置いた。

「今のとこ難しかったね」
「まぁでも初見でこれなら上出来だろ」

グッと伸びをした佳樹くんがコントローラーを持ち直し、ボタンを押す。手慣れた手つきでゲームをセーブする彼の指先にふと、目が奪われた。

「……佳樹くんの手は綺麗だね」
「は!? なに、突然」
「手さばきが綺麗だなと思って」
「…あぁ」

ゲームのことか、と視線を落とした佳樹くんにつられて自分も視線を落とす。コントローラーの左スティックを爪ではじくように弄ぶ仕草が、何故だかとてもいじらしく見えた。

「あのさ」
「なに」
「触ってもいい?」
「……別に、いいけど」

白くいられない

だってその顔が見たかったから


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