拷問めいた無意味



「名前ちゃ〜ん、ねぇってば〜……」

規則正しい寝息を立てて毛布に包まるキミの隣で、内緒話をするように囁く。名前ちゃんは自分から俺を部屋まで呼び出したくせに、俺が着いた頃にはとっくに眠り込んでいて、優しくて紳士的な俺はこうやって頬杖をつきながら、かれこれ二十分は大人しく彼女が起きるのを待っている。

「ねーえ名前ちゃん、起きてってばぁ。起きないと襲っちゃうよ〜?」
「…………んー……」

つん、と名前ちゃんの頬に指を押し当ててみても、相変わらず起きる気は無いようだ。俺だって男なんですケド。好きな子が目の前で無防備に寝てたら襲いたくなっちゃうんですケド。俺ってばチョーえらいよ。すげー我慢してるからね。ねえ名前ちゃん、知っててこんな酷いことしてんのかな。キミが誰を好きで、誰のために慣れないゲーム練習したりして、誰を見つめる度に胸をドキドキさせてるか、俺知ってんだよ。だって名前ちゃんってば分かりやすいし。それと名前ちゃんは俺のこと意外と優しくて紳士だって前言ったけど、ビビってるだけだから。あーあ、かっこ悪。俺いつからこんなビビりになったと思ってんの。名前ちゃんにマジになっちゃったからだよ。あーあ。なんで俺、らしくもなくこんな我慢してんだろ。

「……なんで俺じゃないのかなぁー……」


なんでよりによってキミだったのかなぁ

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