ただ朽ちていく



「お前さ、槙人んとこ行かなくていいの」
「……喧嘩してるし」
「だからって普通、他の男のとこ来るか?」
「うるさいなぁ! わかってるってば……」

名前がコントローラーを置くと同時に、テレビ画面にゲームオーバーの大文字が映し出された。
何八つ当たりしてんだよ。正直こいつのこういうところは鬱陶しいし面倒くさい。彼氏と喧嘩したくらいで当てつけみたいに俺のとこに来て、自分でもこんなことしてる場合じゃないって分かってるくせして意地はって強がって、しかも部屋の主である俺に向かって「うるさい」だと。マジでムカつくし全然可愛くない。馬鹿じゃねぇの。

「泣くなよ」

女のくせに短気でガサツなとこも、あいつの前では泣かないくせに俺の前では泣くとこも、普段は前ばっか向いてる顔が項垂れてんのも、鼻水垂らして泣いてんのも何一つ可愛くない。全然女らしくない。鼻水拭け。あいつもあいつで何やってんだよ。お前の彼女だろ、なんとかしろよ。本当、揃いも揃って馬鹿みてぇ。

「……ごめんね」
「そんなの槙人に言えば」
「……うん」


お前みたいなヤツ、好きになるんじゃなかった

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