別に、学校がどうなろうと構わなかった。冒険者に──ううん、大好きなあの人に近付けるなら、冒険者じゃなくたって構わない。
──これは、子供だった少女の罪の話。
「──セリ、行かないの?」
赤髪の少女──シュリがセリの袖をくいっと引っ張り、そう問いかける。そう言われたって…。セリは心の中で言い訳を繰り返しながら、先を見据える。どこまでも続く暗闇を──。
深夜の学校──普段通っている場所でも、時間が変われば雰囲気はぐんと変わるものである。それは古き建物なら尚更だろう。歩くとギシギシと鳴る廊下がまた恐怖心を煽っていた。
「……はやく行くぞ」
「あっ、待ってシュリ!」
進もうともしないセリに痺れを切らしたシュリはスタスタと先へ進んでいく。そんなシュリを追い、セリもまた歩みを進めるのだった。
「遅いぞ二人とも!」
「ごめんごめん!」
「──…わたしのせいじゃないのに」
教室へと入る二人を待ち構えていたのは銀髪の少年だった。むっと眉を顰めた少年の顔面が視界に映り、セリはげっと心の中で声を漏らす。この男はネチネチネチネチしつこいから苦手だ。今回は自分が悪いので文句は言えないが。隣にいるシュリが頬を膨らませため息を吐いた、その時。
「その辺にしとき。これ以上続けるなら、ウチは帰らせてもらうで」
「…オレも。親父にバレたら面倒になる」
天の助けとばかりに名乗り出たのは亜人の二人だった。ウサギ耳の力自慢の姉──つばきと植物の枝のような細い手足を持った賢い弟──レン。彼らは血こそ繋がらないが、それを思わせない程に仲が良かった。そんな二人の助け舟に、銀髪の少年──トウマはため息を吐き、私達を解放した。
「──それでは、第61回 深夜の学級会を始める」
レンの静かな、そして淡々とした声色で綴られた言葉に、彼らはおおおぉぉーっ!と雄叫びを上げた。
「──でもレン、今回はウチらじゃどうにもならんと違う?」