あの人はいつもキラキラしている。
私が精一杯手を伸ばしても、届かない。
あたたかくて、ここちよくて。
近づきすぎると熱いくらい。
こちらまで燃えてしまいそうなくらい。
でも、
どうしても触れたかったんだ。
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「こら消さん!起きなさい!」
どん!
大きな音を立ててその物体は転がり落ちた。
目の前に転がっている髭をはやした人物は私の先輩教師。イレイザーヘッドこと相澤消太。
「何でベッドあんのに寝袋着て寝てんのよ....。」
私はこの人と同じマンション、同じ階に住んでいる。彼の方が少し歳上で年齢は違うものの、腐れ縁で仲は良い。というのも、たまたま幼い頃近所に住んでいて、私は消さんの背中を見て育ち追いかける形で雄英に入り、これまた追いかける形で教師となった。
「....んだ、コトエか。ガキは元気だな」
「ガキじゃない!教師!」
消さんにとっては私はいつまでたっても子供扱い。仕方ないと言えば仕方がない。寝袋から引き剥がしヒーローイレイザーヘッドをリビングまで連れていった。用意してやったコーヒーとパンに手をつけ始めるのを見届けると、私は自宅に戻り自分の支度の続きをした。
自宅で出勤する為に黒いパンツスーツを履きながら、テレビのニュースに目を向ける。
−−−−オールマイトの活躍により見事解決。平和の象徴は揺るぎません。....
(格が違うわ。)
テレビに映し出されている大柄の男性は我国が誇るNo.1ヒーローオールマイト。彼は私が子供の頃に登場するなり一瞬にして全国民が認めるヒーローとなった。年齢は不詳だが今もなお白い歯を輝かせながら笑顔を振りまいている。
「私が来た!」
彼が来るだけでその場は明るく照らされる。どんな暗い闇でも彼の前では尾を引っ込めるだろう。絶対に敵わない。あの眩しいくらいの明るさはまるで太陽のよう。周りを引き付けて離さない。誰もが夢中になる存在。それはきっとヴィランであっても同じ。
(本当に同じ人間なのかな。)
以前1度だけ災害現場で一緒に働いた事がある。私は人命救助専門のヒーロー。敵を倒したりする事はできない。私の個性は簡単に言うと相手に触れる事によって、相手の血液内にあるヘモグロビンに酸素を運ぶ力を増強させる事ができる。たいして強い能力ではないのだが、災害現場において確実に重宝される個性ではある。
「君すごいね!羨ましいよそんな個性!」
あの時太陽のようなスマイルで私に話しかけてくれたあの人は、ぽんぽん、と私の肩を叩きすぐに炎の中へ飛び込んでいった。その一言はまだ私の中でエコーされている。
「もう大丈夫!」
彼の声が遠くで響いていた。もうあれは、かみさまの域だと思った。
ドンドン!
「コトエ!出なくていいのか?」
先程面倒をみた髭面の男が玄関をノックしながら立っていた。コトエを呼びに来るなんて合理的じゃないんだから...とブツブツ言っている。
「はい!今行く!」
ブツブツ言いながらも気にかけてくれるのが消さんの優しいところだ。クスッと笑い私はテレビを消して玄関に向かう。
「お待たせ〜!」
「ったく。行くぞ。」
「はい。」
2人でエレベーターへと向かい、ボタンを押した。15階で止まっていた表示がどんどん下がり始める。ちなみにここは10階。エレベーターを待っている最中、ふと外を見た。びゅん!という効果音と共に金色の髪の毛をした太陽のような神さまが駆け抜けていった。
「オールマイトだ!」
「...んあ?」
私が朝日に照らされてキラキラ光るオールマイトを眩しそうに見上げているのに対して、朝日に背を向け極力目に入らないようにする消さん。全くこの人は頭の先から足のつま先まで真っ黒だけど、性格も暗いんだから。
「今日もいい天気。」
ちょうど到着したエレベーターに乗り込んだ。
昔読んだ本に書いてあった。
太陽のかみさまへーリオスは、東から西に馬車でかけていくのだと。
皆をあたため、監視し、照らし続ける。
それはある意味義務であり使命である。
毎日の日課であり彼がそれを休む日はない。
誰もが魅力的な彼に釘付けになりほかの神も彼に夢中になった。
その話が記憶の奥で蘇り、
オールマイトはまるでそんな神様のようだと思った。
彼は毎日、この世界を守り続ける。照らし続ける。
それがヴィランであったとしても。
そんな彼に近づきたいと思ってしまった。
触れてみたいと、
思ってしまったのだ。
この物語はかみさまと普通の人間の私が絡み合う不思議なお話。
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