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 ゆっくりと花弁を広げていく様を見ながら、ふっととある少女の顔を思いうかべる。
 彼女との出会いや過ごした日々は、ほんの一瞬だったが心に深く刻み込まれたかのような衝撃的なものだったと言えるだろう。おそらく、一目見たときから何かを感じえていたのかもしれない。それを”恋”だと呼ぶにはあまりにも曖昧で不確かな想いだが。

 「…だからこそ、もう一度と願うのでしょうかね」

 誰もいない月夜の中、ひっそりと呟く。
 今すぐには会えない、それは仕方のないことだ。でも、いずれか必ず。
 目を伏せ視線を下にずらすと、すでに花弁を広げ切った百合とジャスミンの花が急須の中でぼんやりと浮かんでいた。入れていたのを忘れていたわけではなかったが、飲むタイミングを逃してしまっていたのだ。
 少し冷めてしまった花茶を茶杯にゆっくり注ぐ。ふわりと香るジャスミンは心を落ち着かせてくれる。

 「『貴女に出会える日を楽しみにしていますよ』」

 何気なく言うように言った後、なんだか可笑しくなってふっと笑った。

 貴女もこうして一息付けているでしょうか。
 願わくば、この一瞬だけでも共に過ごせればいいのに。

 私は苦くなったお茶を一口すする。

 ゆっくりと広がる優しい香りを噛みしめながら、ゆらりと揺らめく月夜を見上げた。

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