fgo-SS-
● ● ● ● ● ●
「〜〜♪」
「…それは何の音楽ですか?」
「ん?あぁ、蘭陵王。こんなところで会うなんて意外だね」
「そう、ですか?」
「いや、あまりこっちにサーヴァントが来ることないからね」
そう言って彼女は小さく笑い、ポットに向きなおった。
決して私と目を合わせようとはしない。
思わず唇を噛んでしまうが、直ぐにふっと息を吐き再び口を閉じた。向けられた背中に手を伸ばそうかと考えていると、急にぱっと彼女がこちらに顔を向け、カップを差し出された。
「え?」
「よかったらどうぞ」
自分はサーヴァントだからと断ろうかと思ったが、既に手は伸びていた。
じんわりと伝わってくる温もりと甘く香る紅茶に思わず目を細めた。
「じゃあ、また」
そう言ってその場を去ろうとする彼女の手を慌てて掴んだ。私の思わぬ行動に驚いたのか「え、なに?」と声をあげこちらをまじまじと見つめてくるその瞳は、それでも私と交わることはなかった。
また唇を噛んでしまわないよう、私はずっと聞きたかったことを口にした。
「…どうして、私と」
「…え?」
「……」
怖い。
ここで聞いてしまって、それで私はどうしたいのか、どうしたらいいのか。それを理解するのが怖い。
「好きなのか」と問われれば「わからない」としか言えないこの想いをどうしたいのか。それでも一度も目が合わないのは本当に、本当に悲しくて寂しいのだ。何度も「慣れているのだから」と自分に言い聞かせたところで心の痛みが消えることはない。
「蘭陵王?」
彼女の言葉にハッとなり、そっと顔を見る。心配そうな表情をしているのがわかる、それが偽りのないものだということも。
そっと、持っていたカップを置き改めて彼女に向き合う。
怖いけど、このままずっと何も変わらないままでいるくらいならば。
「…どうして、貴女は私と目を合わせてくださらないのですか?」
「え、」
「…やはり、私の顔は」
「え、あっいや。蘭陵王はすごい素敵だよ!」
「…え?」
彼女の顔を見ると、苦笑気味にこちらを見ていた。目線はまだ少し下の方だが、以前よりは少し上がっている気がする。
ごまかすような笑みに少し胸が痛む。これは、私のために言ってくれているのだろう。
「では、なぜ…」
「ん!?…あー、えっと…ね」
「正直に申してください!私は、大丈夫ですので…」
「わっ」
思わず彼女の腕を縋りつくように掴む。そのまま「慣れていますので」と言ったつもりが、その言葉は小さすぎて自分の耳にすら届かなかった。困ったように目線を彷徨わせる彼女はやがて手元のカップに目線を落とした。
「えっとね、ほら。さっきも言ったけど…君はすごい素敵な人だよ」
「…ありがとうございます」
「その、だから。あの…」
カップの水面越しに目が合う。その瞬間、思わず息が止まった。
紅茶に移る彼女の顔は、
「は、恥ずかしいんだ!だから、今日はこれで勘弁して!!」
「え、あ」
気付いた時には彼女はこちらに背を向け、小走りに行ってしまった。
「………!」
慌ててその後姿を追う。
もっと良く顔を見せて、もっと話を聞かせて。
今日はそれくらいで勘弁してあげるから。
今度は仮面を外して一緒に紅茶が飲みたいと思うのは、さすがに贅沢でしょうか?
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「〜〜♪」
「…それは何の音楽ですか?」
「ん?あぁ、蘭陵王。こんなところで会うなんて意外だね」
「そう、ですか?」
「いや、あまりこっちにサーヴァントが来ることないからね」
そう言って彼女は小さく笑い、ポットに向きなおった。
決して私と目を合わせようとはしない。
思わず唇を噛んでしまうが、直ぐにふっと息を吐き再び口を閉じた。向けられた背中に手を伸ばそうかと考えていると、急にぱっと彼女がこちらに顔を向け、カップを差し出された。
「え?」
「よかったらどうぞ」
自分はサーヴァントだからと断ろうかと思ったが、既に手は伸びていた。
じんわりと伝わってくる温もりと甘く香る紅茶に思わず目を細めた。
「じゃあ、また」
そう言ってその場を去ろうとする彼女の手を慌てて掴んだ。私の思わぬ行動に驚いたのか「え、なに?」と声をあげこちらをまじまじと見つめてくるその瞳は、それでも私と交わることはなかった。
また唇を噛んでしまわないよう、私はずっと聞きたかったことを口にした。
「…どうして、私と」
「…え?」
「……」
怖い。
ここで聞いてしまって、それで私はどうしたいのか、どうしたらいいのか。それを理解するのが怖い。
「好きなのか」と問われれば「わからない」としか言えないこの想いをどうしたいのか。それでも一度も目が合わないのは本当に、本当に悲しくて寂しいのだ。何度も「慣れているのだから」と自分に言い聞かせたところで心の痛みが消えることはない。
「蘭陵王?」
彼女の言葉にハッとなり、そっと顔を見る。心配そうな表情をしているのがわかる、それが偽りのないものだということも。
そっと、持っていたカップを置き改めて彼女に向き合う。
怖いけど、このままずっと何も変わらないままでいるくらいならば。
「…どうして、貴女は私と目を合わせてくださらないのですか?」
「え、」
「…やはり、私の顔は」
「え、あっいや。蘭陵王はすごい素敵だよ!」
「…え?」
彼女の顔を見ると、苦笑気味にこちらを見ていた。目線はまだ少し下の方だが、以前よりは少し上がっている気がする。
ごまかすような笑みに少し胸が痛む。これは、私のために言ってくれているのだろう。
「では、なぜ…」
「ん!?…あー、えっと…ね」
「正直に申してください!私は、大丈夫ですので…」
「わっ」
思わず彼女の腕を縋りつくように掴む。そのまま「慣れていますので」と言ったつもりが、その言葉は小さすぎて自分の耳にすら届かなかった。困ったように目線を彷徨わせる彼女はやがて手元のカップに目線を落とした。
「えっとね、ほら。さっきも言ったけど…君はすごい素敵な人だよ」
「…ありがとうございます」
「その、だから。あの…」
カップの水面越しに目が合う。その瞬間、思わず息が止まった。
紅茶に移る彼女の顔は、
「は、恥ずかしいんだ!だから、今日はこれで勘弁して!!」
「え、あ」
気付いた時には彼女はこちらに背を向け、小走りに行ってしまった。
「………!」
慌ててその後姿を追う。
もっと良く顔を見せて、もっと話を聞かせて。
今日はそれくらいで勘弁してあげるから。
今度は仮面を外して一緒に紅茶が飲みたいと思うのは、さすがに贅沢でしょうか?
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