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童話と触れ合おう

これも教令院からの依頼だ。でも名義こそ教令院だが、実際の依頼主は教令院と直接の関りはないようだ。
今や知識は砂漠の民にも広く共有されているが、それでもこういったもんは得てして最初が肝心だからな。分かりやすく、馴染みやすい童話を紹介するプロモーションを制作して欲しいとのことだ。堅苦しいのはそこそこに、楽し気なものを頼んだぜ。




童話と触れ合おう

  • そういや依頼主の助手をしていた少年は教令院の学生だったな…。名義が教令院だから駆り出されたのかもな。
    ……え?それは関係ない?ってことは……ははーん、さてはお二人さん、コレってやつか。道理で仲がいいはずだ。
    おっと、話が逸れたな。依頼主の女の子は随分と愛想のいい子だったよ。反対に男の方は不愛想だったけどな。
    この二人の掛け合いや素材を上手く組み合わせれば、親しみやすく、分かりやすいものになるはずだ。お前のセンスなら心配はいらねぇな。今回も期待してるぜ。





    


    


    



    



    



   



シナリオ案(シーン1〜4)
ルリが元気いっぱいに挨拶をするところから始まる。知識には際限がなく、難解なものも多いが、童話には思いがけないヒントが隠されているかもしれない。

順番の答えC→B→G→@



シナリオ案(シーン5〜8)
童話の紹介中、次に紹介する童話をうっかり忘れてしまうルリを藤哉が助ける。
本人はあまり乗り気ではなさそうだが、彼の冷静な注釈は大いに助けになっている。

順番の答えA→I→J→H



シナリオ案(シーン9〜11)
知識を得るのは楽しいが、同時に大変なことでもある。それでも蓄えた知識はどんな形でも無駄にはならない。
最後はルリの激励と彼女に促された藤哉がコメントをして、挨拶で幕を閉じる。

順番の答えD→F→E






スペシャルコメント
ルリ「画面の前のみんな〜! こーんにーちは〜!」

ルリ「みんなは今何してるかな? おやつ? お買い物? それともお勉強?」

ルリ「どれもすっごく大事だよね! でもでも、お勉強するとたまに躓いちゃうこともあるよね〜」

ルリ「そんなみんなに、今日は素敵な贈り物があるんだ〜。えへへ、最後まで聞いていってね!」

ルリ「まずは数を数えたり、計算が難しいっていうあなたに! この【ぽんぽこクッキー】のお話を! たぬきさんがお腹を叩くとクッキーが増えていくお話なの。きっと助けになってくれるよ!」

ルリ「次は……あれ? 【メラメラチキン】であってたかな? それとも、【集まれ!くだものバスケット】だったっけ…?」

藤哉「…これだろう。【まっしろシロンとまっくろクロロン】差別と偏見が蔓延る世の中で、君たちはどう生きるのか、そして、どうしたら息がしやすくなるのか。そういったものが描かれてる」

ルリ「藤哉くん! えへへ、ありがとう!」

ルリ「お勉強って大変だけど、楽しいよね! 新しい知識が増えていくと、それだけ世界のことを知れたような気持ちになるよね。上手く紹介できたかな? みんなの役に立てなら嬉しいな。ね、藤哉くん!」

藤哉「僕? ……どんな形でも、どんなものだとしても、それが【知識】である限り、無駄にはならない。いつだって、選択は君たちにある。やるかやらないか、それは君たち次第なんじゃない?」

ルリ「えへへ、藤哉くんも頑張れってみんなを応援してくれてるよ。知識の入り口にも、気分転換にも、童話がみんなのお友達になってくれてるといいな。それじゃあ、またどこかで! またね〜!」


挑戦成功


藤哉

ま、君にしては上出来なんじゃないかい?ルリも喜んでたよ。
……それだけって、それだけだけど?何、他にもまだ何か必要かい?
生憎だけど、恋人でもない君にするサービスなんて何もないよ。





後日談
 あの広告が公開されてからというものの、ますます人々は童話に馴染んだようだった。ポップで分かりやすい童話をCMに選出したこともあり、スメールのみならず、他国からも童話を交えた商談や相談が教令院に舞い込んでくるほどだ。
 童話作家として、彼女自身CMに出演したこともあり、ルリもまたその件で最近は忙しくしているようだった。

「はぁ〜! 今日も一日頑張ったな〜!」

 ベッドに仰向けにダイブしたルリは疲れを吐き出すように息を吐く。にこにこと日頃から愛想のいいルリは親しみを抱きやすい。人懐っこく、親切であるからちょっとの疑問にも真剣に向き合ってくれる。彼女の周りに人が集まるのも自然なことだったが、最近の人気ぶりにはルリも僅かな疲労を覚える程度には異常なものがあった。

「お疲れ様。人気者は大変だね。新しくスバイルシアターの踊り子の仕事でも始めたのかと思ったよ」
「え〜、そんなわけないよ〜。ニィロウちゃんみたいに上手に踊れるかあんまり自信ないもん」

 ふにゃりと笑うルリに藤哉はそういうことじゃないと言おうとして、口を噤む。ただの嫉妬だと自分が一番よく理解していた。 
 ルリは頭の中で自分が踊り子になり、ニィロウのように優雅に踊る様子を想像して、ふにゃふにゃとした笑みを浮かべた。

「えへへ、でもそれも楽しそうだね。綺麗な衣装を着て、ステージで踊るのも夢みたい」

 もしそうなったら、賑やかな声と楽し気な音楽につられてアランナラたちも来てくれるだろうか。一緒にあの花神誕祭の時のように夢のようなひと時を過ごせるとしたら、とても素敵だろうから。
 ルリの楽し気な様子に藤哉は僅かに視線を逸らし、それから短く息を吐くと、どこか不服そうに口をツンと尖らせた。

「僕はあんまり見たくはないけどね」

 一刀両断するような藤哉の物言いに、ルリはわかりやすくガーンと衝撃を受けた顔をする。

「そ、それって……私の踊りが上手じゃないから……?」

 見てられないくらい酷いのかなと密かに落ち込むルリの様子が見ていられず、藤哉は仕方なく口を開いた。

「別に。そうとは言ってないだろ」
「じゃあ、どういう意味……?」
「……」

 沈黙が場を支配する中で、ルリのキャンディのように甘い瞳が潤みを帯びて、藤哉を真っ直ぐに見つめてくる。その沈黙を制したのは、やはりルリだった。吐き出された長い長い息が、藤哉の苦悩をよく物語っていた。

「どういうって……一つしかないだろ」
「え?」
「この僕が捕まってやったっていうのに、君ときたら……どれだけ掃除したってし足りない。君を好きになるのも、一緒に時間を過ごすのも、ステージの観客だって……僕一人で十分だとは思わないかい?」

 その意味がどういう意味なのかをルリが理解するまで、時間が必要だった。頭の中で藤哉に言われた言葉が反芻する中で「何か言ったらどうだい」と僅かに赤く染まった頬を見つけてようやく、ルリはその意味を解した。それと同時に身体が沸騰するかのような熱を感じて、それは一気に頬や耳に集まり、ルリの白い肌を瞬く間に赤く染めた。

「藤哉くん……ヤキモチ、焼いてたの……?」
「……だったらなにか文句でも?」
「ううん、ない、ないよ……なくて、そうじゃなくて……むしろ――」

――藤哉くんがそんな風に言ってくれるなんて、思ってくれるなんて、嬉しいなんて、そう思っちゃう私は悪い子なのかもしれない。
 まったく、ルリは意地悪とは反対に位置する子だったのに。こんな風に思ってしまうなんて、誰かさんの癖が移ってしまったのだろうか。
 お互いに赤くなったままの顔を先に逸らしたのは藤哉で、ルリもそっと視線を下に向けた。今は何だか、顔が見れそうになかった。

 ドキドキと、心臓が忙しない。徐に、躊躇うように、不安げに伸ばされた指先がそっと絡み合う。普段は冷たい温度が何故だか今は熱く感じられた。
 そっと伏せた視線を見上げれば、ぱちりと視線が絡み合って、それで――ふっと笑うその顔が、あまりにも優しくて。ルリはまた一つときめきと共に、恋とは何かを知るのだった。
 それはきっと、彼もまた、同じこと――。