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◆ 2019.0721 ( 0:14 )



天気の子、見てきました。

監督が事前に、感動もお叱りも、いろんな声を聞きたいと言っていた。なので100パーセントの感動は語ってないけれど、愛を書きました。


君の名は。が公開したとき、ものすごく楽しみだった。秒速五センチメートルや、言の葉の庭が大好きだった私は、新海誠監督の描く、他のアニメにはない繊細さがたまらなく好きで。静かな水面に水滴が落ちるように、それはゆっくりと確実に言葉を重ねて、そうやって世界ができていく、まるで小説を読むようなアニメ。斬新でした。

君の名は。の冒頭、やはり同じように、新海誠監督作品ではお馴染みの詩が歌われるのです。それがとても好きでした。



今回「大人になれよ、少年」というセリフがありました。

この物語で少年の起こす出来事は、正しく生きる大人からみたら理解が及ばないかもしれない。社会を犠牲にしてまで手に入れていいものはない、と。

少年の中に描かれた最大の愛。愛があれば、銃を握ってもいいのか?発砲して、警察に歯向かい、トラックを炎上させて、お世話になった人を足蹴にする。そんなことが、許されるのか?

だからこそ、少年の気持ちを尊重できる大人ってあまりいない。自分が忘れたことや我慢したことは人にも押さえつけがちだから。相手が子どもだということも忘れて。そんなときだけ大人扱いして、 だから、映画の中で最後少年の気持ちを受け止めてくれる人がいてよかったなぁと思った。賛否両論、よくわかります。

だって始めからこう言ってた。
「これは、僕と彼女だけが知っている、世界の秘密についての話。」
ほかの誰が知らなくても、理解しなくてもいい、という宣言が冒頭にある。2人は2人の気持ちを分かちあって、2人だけの世界を知った。そういうものが心の中に眠っていて、世界の形をほんの少し変えて、それが二人の愛の証になった。

傍から見ればとんでもないことだけれど、それを愛と呼ぶ。この若さの特権である愛を大人になっても描けた監督に、ただただすごいなという気持ち。世界から見た間違いだらけの子どもの物語を、ちゃんとそこに写した。

監督は、物語によくある「主人公の成長」よりも、「ただそこにある気持ち」をいつも描いてる。その行きつく先がやっぱり愛なのだと思いました。どうやって成長して頑張ったって、幸せになれないことだってたくさんあるし。そういうのもいいよな、という気になる。
終盤、出てきたセリフのように「世界は、最初から狂ってる。」そう思ってみんな肩の力落として生きてみたら、心が愛に満ちることもあるかもしれない。

でも、それは同時にとても危険なことだと教えてくれました。愛というものは、正義なんかじゃなく、正しいことでもなく、ただ美しくて、利己的で、それは誰かにとって毒になるかもしれない、恐ろしいものでもあると。
そこまできっちり描いてもらってスッキリしました。これは、正しい映画じゃないけど、愛のある映画で、他には描けない作品。

そして監督はとんでもなく愛に満ちてる人間だというのはよくわかりました。これからがまだまだ楽しみ。

雨続きの7月に見れてよかった。
件の事件で落ち込んでいた心、少しだけ、晴れた。
ありがとうございました。
天気の子




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