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◆ 2019.1005 ( 11:27 )

自分にとっての絵を描くこと
絵でプロになりたいという気持ちがずっと抜けなかったのですが、絵が市場で取り扱われる商品という側面と、心を洗練する芸術という側面も持ち合わせる点で苦しむことがあります。イラストレーターというものは需要ある絵をアプローチする仕事なので、描く本人が自分の感性を頼りに価値を洗練して高める画家となれ合わない面があります。
芸術はそもそも好みの分かれるものですが、イラストレーターが自分の思うまま好きにばかり描いていたら仕事として成立しませんから、表現に幅がありながらも多数に評価される、かつ個性が求められる絵を描いていく、すごい仕事だなぁと…

自分にそういう生き方がしたいのかずっと考えました。絵を極める人になりたいけど、イラストレーターになること、絵を仕事にすること、それは自分にとってどれだけ大切なのか。絵は趣味としてもずっと続けていくことができるものだけど、だからといって本気でやってないから職業になっていないと思うのは嫌でした。趣味だとしても手は絶対抜きたくない。いつも絵と本気で向き合いたい。絵を描くことが繋がる道は…これは大学卒業時からずっと考えていたことでした。

私の中でプロというのは知名度を獲得していて、それでお金を稼いで絵一本で人生を捧げる人のことだと思っていましたからずっと苦しかったです。そういう図式にプライドや自分の信念がいつも擽られる心地でした。「プロフェッショナル」や「情熱大陸」に出てくる人のような人達に憧れていました。職人のような気迫と真に迫る生き方。

宮島達男さんという方の『「プロのアーティスト=絵で飯を喰う人」という幻想』https://togetter.com/li/64485 のまとめを読んでからその気持ちがなんとなく落ち着きました。(2010年と古いツイートのまとめでしたが良かったです)
「職業」と「アーティスト」はなじまない、というお話です。悩める方は是非読んでほしい文章です。

絵で稼ぐために得る知識やコツと、よりよい絵を追究していくのは全くベクトルの違うことです。絵がうまくなくても絵を通して発信する人生観やアプローチ。その人柄や努力次第で仕事にしていける。私はアプローチが苦手でした。その方面の勉強も多少しましたが、絵に纏わることにおいて計算したり客観的な感覚を持っていくことが、今でも苦痛です。
そういうことが出来る人のことはずっと尊敬です。イラストを仕事にするという社会的な活躍はやはりかっこいいです。むしろそれが出来る人が努力家であり本気の人なんだと先日までは思っていたりもしました。仕事にするという夢があるから、絵を描く以外のこともがんばれる。けれど、私にも夢はあっても糸が繋がりませんでした。絵を置き去りにしてしまうような感覚が苦手でした。だから、売り込み・仕事・お金にしていくことは自分に出来る範囲で出来そうなタイミングに頑張る程度にしようと思いました。
きっといつか、絵を置き去りにしないと思った時にがんばっていきたいです。

あわよくば名声や収入を…みたいな欲は紛れもなくいっぱいありますし、やりたいことには齧り付いて行きたいけど、私の人生において絵が人生を豊かにするもの、(それがお金でも感性でも人間関係でも)なのでこれからも描く時間を増やしたり、よりいい絵を描くことにいちばん集中してがんばります。絵を置き去りしないように。今はそれをそっと見守って下さる方がいて幸せです。

そして来年も絶対定時退社マン続けられるようにがんばります ... やるぞー!
絵を描くこと




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