熱が出て、気づいたら会社を休むことになってた。目が覚めたら莉央がたぶん上司に電話をしていて少し世間話でもしたんだと思う。何度か笑ったりしながら電話を終えた。「及川の妻ですけど」って聞こえて目が覚めた訳だけど、身体も頭もひどく怠いのに不思議と幸せに感じた。額に乗せられた冷たいタオルが徐々に熱を吸収していくのがわかる。
「大丈夫?」
「ん…大丈夫じゃないかな…」
「だろうね、食欲は?」
「…ない」
「そう、ゼリーなら食べれる?お粥がいい?」
温くなったタオルがまた、冷えたものに変えられる。頭を撫でられながら目を瞑る。なんだか子供に戻ったみたいだと思った。
「とりあえず寝て、起きたら何か食べて薬飲もうか。」
「りおー…」
「なんですかー」
「一緒に寝ない?」
「冗談でしょ」
苦笑した彼女がまた優しく頭を撫でて部屋から出て行った。
その背中を見送って閉じられたドアを見てゆっくり息を吐いた。
「だる…」
撫でられた頭を抑えて目を閉じる。
あの顔は初めて見たな、なんて考える。
安心したような、心配そうな、優しい顔。
程なくして運ばれてきたお粥を食べて薬を飲んでまた、眠りについた。
夕方目覚めた頃には熱も下がっていてベッドの隣に椅子を置いて本を読んでる莉央が調子はどうだとまた頭を撫でた。
「頭撫でるの好きだね、大分楽になったかな」
「そうだね。一応明日まで安静にしてよう、会社には連絡入れてあるからね。」
「ね、今日は一緒に寝ようよ」
冗談でしょ、って彼女はまた笑った。
終
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