わたしの名前を綺麗に呼ぶ人

わたしの名前を綺麗に呼ぶ人




「莉皇」


聴き慣れた声で聴き慣れない音が聞こえて、反応が鈍った。振り返ってみると少し照れくさそうな乙骨がそこにいて、照れ隠しか乾いた笑い声を出していた。


「名前、呼んだ?」

「うん、みんなも名前呼びだったから前からそうしたいなって、思ってはいたんだけど…」

「そう、」


もう一度、柔らかく優しく大事そうに呟かれたその音が耳をくすぐる。
自分から声に出したくせに一人で照れ笑いをしている彼はなんだか楽しそうだ。


「憂太」

「えっ」

「って私も呼んだほうがいい?」

「なんか、嬉しいけど、照れちゃうね」

「楽しそうね」


そうかな、とまた笑う。
名前ひとつでこんなにも照れたり笑ったりできるものなんだなあとぼんやり眺めてしまう。
みんな呼び捨てだしなあと顎に手を当てて真剣に悩んでいる。
でも、乙骨側からはみんなくん付けなどだ。彼にとっては私だけ呼び捨てにするのは何か抵抗感があるだろう。


「莉皇」

「ん〜?」

「莉皇くん、がしっくりくるかな」

「そもそもが立木くんだったしね」

「莉皇ちゃん」

「それはないな、嫌だし」

「僕は好きだけどな。莉皇さん?」

「なんですか憂太さん」

「わあ……….ちょっとドキッてした」


やっぱ、莉皇くんか莉皇かな〜なんて一人でうんうん頷く彼を見るのは飽きない。戦闘中になるとかっこいいのに普段はこんなふわふわゆるゆるなんだよな。
とぼんやり考える。自分にとってただの記号のようだった、2音がこれほど愛しさに包まれるのはくすぐったい。


「ねえ、莉皇」

「なに、憂太」

「っ………」


いや、照れるなよ。






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